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2017.07.26

OKAMOTO’S インタビュー——『NO MORE MUSIC』に見るリアルなエモーション

“NO MORE MUSIC”もう音楽はいらない?それは俺たちが最高だからもう他はいらない、という意味なのか、それとも……。時代の先頭に立つロック、音楽的な奥行き、20代の青年のこぼれ落ちるようなリアルなエモーションが詰まったニューアルバム『NO MORE MUSIC』へのプロセスを、ショウ、コウキ、ハマ、レイジが語ってくれた。

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——今年の問題提起という意味では、tofubeatsの『FANTASY CLUB』と、この『NO MORE MUSIC』が双璧を成すんじゃないかと思いました。

ショウ「「SHOPPINGMALL」の歌詞、すごく好きです」

——“何かあるようで何も無いな”という詞が象徴的ですよね。今回のショウさんの詞も“いい加減もう誰かほんとのこと言えよ!”みたいな内容じゃないですか。

ショウ「『NO MORE MUSIC』というタイトルのきっかけは、去年の全都道府県ツアーを終えて、今年の頭に「BL-EP」をリリースして、また曲を書いているときに、ふと“また俺、曲書いてるけど、意味あんのかな?”という気持ちが湧いてきて。もちろんアルバムを作りたいから書いているものの、アルバムに入っていても世間的にボツを食らったら、ただ消えていくだけというか(笑)。そうやって卑屈になってくるとそう思う瞬間もあったりして」

——なるほど。

ショウ「作る人は作り続けているし新譜もどんどん出ているけど、カラオケでは40年ぐらい前の曲が未だに歌い継がれていたり。そこを塗り替える作品も出ているのか、出ていないのかわからないし、だんだんそういう気持ちが大きくなって。実は、そういう曲を書く人の気持ちから始まっていました。それで、アルバムに収録する曲が出揃ったタイミングで、レイジが“キーワードとしては相当いいんじゃない?”と提案してくれて。で、アルバムタイトルにもなった。もともとそういうコンセプトで作り始めたアルバムではなかったのですが、妙にその時の自分の気分が時代にマッチして、結果、強烈なメッセージを放つことになったというパターンでした」

レイジ「ショウが作り手側の“NO MORE MUSIC”だとしたら、俺はリスナー側の“NO MORE MUSIC”をすごく感じていて。いま、あたりまえのようにサブスクリプションで話題の新譜が出て、発売日にそのまま聴ける状況があるじゃないですか。話題の新作が出ましたっていうことが目まぐるしいスピードで立て続けにおきて、これもまだ聴いてないのに、こっちを聴き始めて、あれも聴き始めて……みたいになっちゃって、音楽が溢れすぎていて何を聴いたらいいかわからないし追いつかない。そこで、いったん世界中のミュージシャンがリリースを止めたらいいのになと思った瞬間があったんです」

ショウ「そういうことか」

レイジ「いったん立ち止まって、消化する時間を設けた方がいいんじゃないかなと思って。それで、もう新しい音楽はいらないかも!と思った時に、そういえばショウも「NO MORE MUSIC」って曲を作っていたなと思って。このキーワードは2017年の状況を暗示しているのかもしれないと。それで“これアルバムタイトルにしたらどうかな?”と話してみたら、みんなもガチッときたのでこういうタイトルになりました」

コウキ「ミュージシャン自身がサブスクがどうだとか、語りすぎなんじゃないの?と思うときも個人的にはあります(笑)。やっぱりいい音楽をバスっと出してバスっと売れるという売れ方が一番いいですし、僕はそれがまだ可能だと信じてるっちゃ信じてるんです。その上でどういう作品として表現するか、“NO MORE MUSIC”という気持ちを超えるようなものを出すしかないだろ!と思います」

——例えば『OPERA』はロック史の中にコンセプチュアルな手法があるんだってことを表現したわけですが、今回はもっと個人のエモーションでできてるアルバムなのかなと。

ショウ「まさに。前回はコンセプトがガチガチだったので、それとは逆のことをやった方が自分たち的にフレッシュだと思ったからこそ、ノーコンセプトで行きたかった。『OPERA』は俺が骨組みのストーリーを考えていましたが、今回は、俺がなるべく色々なことを考えずにみんなの意見を出しあったところで、生まれたものなので、きっと『OPERA』を超えるものなんだろうなという実感はあります。そういう意味でこうやったらヒットするかもしれないなというあざとさもないし、マニアックなものを作って自分たちの地盤固めをしなくちゃいけない、という余計なことを考えてないって意味で、1stアルバムのようなストレートさは出たと思います」

——冒頭の2曲は特にメランコリックというか、等身大の痛みが表現されています。

ショウ「詞は今までのアルバムと比にならないぐらいよく書けました。よく書けたというか、自信があるし、気に入ってます(笑)。本当に納得いくものが書けました」

——今日とは違う新しい明日みたいなチアーソングじゃなくて、今日の続きの明日、すっきりしない感じを歌っていて。

ショウ「そういう部分が伝わったら嬉しいです。全体的にスカッとしてない」

——でも演奏はご機嫌です(笑)。

コウキ「そうですね。演奏はスカッとしてる(笑)」

——「BL-EP」以降のジャンルの混ざり方というか、どこかひとつだけの影響じゃない感じが強くなってきたんじゃないかなと。例えば「Cold Summer」はショウさんとレイジさんの共作ですが……

レイジ「基本的にはショウが作ってますけどね」

ショウ「そもそもデモ曲をメインで書いているのは俺とコウキで、曲を書き始める前にこういうアルバムにしたいという話をするのですが、書かない派のレイジからもリファレンス的なものをどさっともらっていて。その中で、レイジがいくつか挙げていたHIP HOPっぽいナンバーから生まれたのが「Cold Summer」。レイジが作ったのは主にアウトロの部分、あとはアレンジと構成ですね」

——いまっぽい淡いラップじゃないし、構成的にはゴリラズっぽいなと。

コウキ「混ざり具合などはゴリラズっぽさがありますね。ハイブリッドな感じが」

レイジ「歌詞はニューヨークのことを歌っているのにトラックはLAっぽい感じで、最後はUKロックになって、というめちゃくちゃな混ざり方をしてますね。新しいジャンルの音楽ができたから、俺はものすごく気に入ってます。HIP HOPとロックが混ざると、どうしてもラウドロックのようになりがちですけど、そういうミクスチャー感はあまり好きじゃなかったんで、この混ざり方はかなりハイブリッドだなと思って。新しいミクスチャーを作った感じがします。2000年代以降のロックと2000年代以降のHIP HOPを混ぜたっていうのは、いままでなかったと思うし」

——でも全体的には90s感があるのはなんなんでしょうね?いちばん洋楽と邦楽の垣根がなかった時代感というか……

ハマ「その時代に音楽をやってなかった人が作るミクスチャーということかなと思いますけどね。まだ誰も発信してないので、そういう意味では言ったもん勝ちになってしまいますが。その新しいミクスチャー感というのは、90年代前半までの音楽の捉え方と混ぜ方だと思うんです。同い年のバンドでもこういう風にやってる人たちはあんまりいないんじゃないかな」

——冒頭の曲が結構暗いから、タイトルチューンはさらに暗いのかな?と思ったら「NO MORE MUSIC」自体は、ちょっとシルヴェッティぽいストリングスも入っていて。

コウキ「いちばん明るい曲」

ショウ「いや「WENDY」には負けるでしょ(笑)」

レイジ「明るい曲って「WENDY」と「NO MORE MUSIC」しかなかったっけ?」

コウキ「全体的にメランコリックですよね。盛り上がるロックを期待してる人の反応が見てみたい(笑)」

——そして「時差」のジャマイカと日本的80’sの融合みたいな感じも新鮮です。

コウキ「AORや、ソフトロックだったり、そういうものにすごくハマっていた時期がありまして、わりとそっちから影響を受けて作った曲です。それも「BL-EP」の「Phantom(By Lipstick)」って曲の評判が良かったので、さらに発展させた感じです」

——聴いた人の年齢や背景で感想が違いそうですね。オーガスタス・パブロとか思い出しました。

ショウ「この曲はもともとINO hidefumiさんにローズ・ピアノの演奏を頼もうと思っていて。INOさんはピアニカもバリバリ吹ける人なので、だったら曲自体に少しダブっぽい構成を入れてみたら?と提案しました」

ハマ「椎名林檎さんの「丸の内サディスティック」と真っ向勝負するって(笑)。その曲をいちばん最初に録ったのですが、INOさんのピアニカがとにかくすごくて、レコーディングのハイライトでしたね」

ショウ「もともとあのイントロも予定になかったのですが、吹いてもらったら“キター!”と大盛り上がりで(笑)」

——で、90’sのオルタナ感もある「SAVE ME」は、さっきおっしゃってたように2000年代以降のハイブリッドなのではと。

ハマ「みんなやるよね?という」

レイジ「“激情エモロック”」

ショウ「違う違う(笑)。そういう人たちが曲に込める、背中を押してくれそうなメッセージ性は特にないというか。曲があらかた出揃った後で、俺とコウキで共作してみたらってハマが提案してくれて。コウキとやりとりしてできたのが「90’S TOKYO BOYS」と「SAVE ME」。結果、極端な出来になりました。「SAVE ME」は、“こういう曲っていいよね”とは思いつつ、“俺たちがやるには少しシリアス過ぎるかな?という印象で」

——照れちゃうんだ?

ショウ「まさに。そういう気持ちもありつつ何事も挑戦なので。これまでも同じ様なことが何度かありまして、アルバムを作っている過程で、“いやいや!これ、俺たちの柄じゃないでしょ”と言っていたのに、アルバムに入れてみたら人気曲になっていたり。なので、主観の照れは置いといてやってみた曲です」

——こういうアルバムが出てくると、OKAMOTO’Sがバンドとしてどういうふうに存在しようとしてるかピンと来たっていう人と、よくわからなくなっちゃう人に分かれそうですね。

コウキ「これまでのOKAMOTO’Sの音とは少し異質なので、パッと聴きの派手さは少ないですし、ひょっとしたら暗くて地味なアルバムに聴こえるかもしれないなと思うんですけど、いままでより音楽的な奥行きもありますし、いちばん高度なことをやってるんじゃないかな?という気もするので、わかってもらえるといいなと思います」

 ショウ「少し前だったらできなかったような気がする。それこそそういう“高度なことをやってんな”というのは独りよがりだし。コウキの言ってる意味もよくわかる。受け取る人によってどっちになるのかな?ということには興味あるよね」

コウキ「でも自然に作ってそうなったのですごく良かったと思う。やっぱり歌詞が回収してくれている気がします」

——いろんなことの布石になりそうなアルバムだと思います。

ハマ「そうですね。そろそろ踏み台にされないバンドになろうと。ヤードバーズにならないように(笑)」

——確かにOKAMOTO’Sはロックミュージックの存在意義を問いかけてきたバンドですけど、踏み台にされてる意識ってありますか?

ハマ「ここ数年、結構追っかけられている感じはします。僕らが前から言ってきたことを、最近みんなが言うようになっていたり。言ってる張本人だからこそわかる感じはすごくあります。だから早くその先に行かないとなと思っています」



(おわり)

取材・文/石角友香



■「OKAMOTO’S TOUR 2017-2018 NO MORE MUSIC」

2017年10月30日(月) 恵比寿リキッドルーム(東京)
11月4日(土) 仙台darwin(宮城)
11月5日(日) 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE(新潟)
11月12日(日) 金沢AZ(石川)
11月17日(金) 浜松窓枠(静岡)
11月18日(土) 京都磔磔(京都)
11月19日(日) 和歌山CLUB GATE(和歌山)
11月23日(木) 青森Quarter(青森)
11月25日(土) 札幌PENNY LANE24(北海道)
11月26日(日) 旭川CASINO DRIVE(北海道)
12月2日(土) 周南LIVE rise(山口)
12月3日(日) 熊本B.9 V2(熊本)
12月5日(火) 鹿児島SR HALL(鹿児島)
12月7日(木) 神戸VARIT.(兵庫)
12月9日(土) 松山サロンキティ(愛媛)
12月10日(日) 高松DIME(香川)
12月15日(金) 宇都宮HEAVEN’S ROCK VJ-2(栃木)
12月16日(土) 長野CLUB JUNK BOX(長野)

2018年1月13日(土) 岡山CRAZYMAMA KINGDOM(岡山)
1月14日(日) 福岡DRUM LOGOS(福岡)
1月20日(土) なんばHatch(大阪)
1月21日(日) 名古屋DIAMOND HALL(愛知)
1月28日(日) Zepp Tokyo(東京)





OKAMOTO’S『NO MORE MUSIC』
2017年8月2日(水)発売
初回生産限定盤(CD+DVD)/BVCL-820/821/3,500円(税別)
通常盤(CD)/BVCL-822/3,056円(税別)
完全生産限定アナログ盤/BVJL-26/4,000円(税別)
アリオラジャパン




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