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――ニューアルバム『dolce(ドルチェ)』は、ソロ・デビュー30周年&還暦記念というメモリアルな作品集ですね。

「早い段階で“dolce(※イタリア語でケーキやデザートの意味)”というタイトルが思い浮かんで、そこからはじまったプロジェクトだったんですよ。その後、今回参加してくれた人たちに声をかけさせてもらって、アルバム作りがスタートしました。“60歳になったら還暦ソウルを届けるから”って、3年ぐらい前から宣言していて、ファンの皆さんはそれを聞いて色々と想像を膨らませるわけでしょ? こちらはその期待を越えなくちゃいけない。“ソウル”という言葉は、ブラック・ミュージックだけじゃなくて、魂を届けるという意味もある、そんな思いや目標を持ちながら、1年ずつ段階を踏んで今に至っています」

――松任谷由実、玉置浩二、久保田利伸、岡村靖幸、KREVA、アンジェラ・アキ、谷村新司といった、錚々たる面々が楽曲を提供されています。

「今回いろんな人たちが“dolce”というテーマのもとにマエストロとして集まってくれて、その人なりの“dolce”を鈴木雅之色に染め上げてくれました。ユーミンの〈Melancholia〉は、まだ二十代の若いTHOM HAWKEが作ったトラックが先にあって、それをユーミンに聴いてもらって曲を作っていった。THOMの世代はダフト・パンクなどから影響を受けていて、だったら、ユーミンとやることでフレンチ・ポップ・ファンク的なものに変換できるんじゃないか、という狙いもあったんですよ」

――ユーミンとは、かなり以前に共演があったとか。

「70年代後半、シャネルズがまだアマチュアだった時代に、ユーミンがダンス・パーティーをやるという企画があって、それ用のバック・バンドを探しているときに声をかけてもらいました。〈ルージュの伝言〉やフィフティーズのロックンロールを演奏して、ダンス・コンテストもあったりするイベントでね。ユーミンとはそんな縁があって、久々の共演が実現したわけです。シャネルズがルイードを中心に活動していた頃に、大滝(詠一)さんやユーミンをはじめ、多くの人たちとの出会いがあって、それがその後のキャリアにもつながっていった。音楽を極めてゆくと、そうした出会いに恵まれることを学びましたね」

――ソウル・メイトともいえる久保田さんや岡村さんの楽曲は、サスガの安定感ですね。

「今回、“還暦ソウル”の一番大切な部分を担ってくれたのが久保田利伸と岡村靖幸かも知れない。僕のソロ・デビュー作『mother of pearl』でも曲を書いてくれていますが、ふたりとも、当時はまだデビュー前でしたから、それが30年後に再びコラボレーションできるというのは、とてもありがたいことだし、時間や歴史を感じますね。そういう意味で、今回の『dolce』では、そうした“縁”とか“ルーツ”といったものが形になった感じがします。久保田利伸の〈リバイバル〉は、70年代のソウル・ワルツを思い起こさせる曲。僕の大好きなフィリー・ソウル・シンガーであるビリー・ポールが亡くなった直後に、ちょうどこの曲の歌入れがあって、僕のなかでは彼へのリスペクトの思いを持ちながら歌ったことが、実はとても大きなことでした。岡村靖幸に初めて会ったときの印象は、シンガー・ソングライターというよりもダンサー。今回書いてもらった2曲〈Luv or Trap〉〈TOKYOべらんめえSOUL〉は、どちらも岡村らしいファンク・ナンバーだし、せっかくだから両方入れようと。〈TOKYOべらんめえSOUL〉は、岡村からの提案でクレイジーケンバンドの横山剣に歌詞をお願いすることになって、3人のトライアングル的なコラボレーションで曲を仕上げました」

――「Luv or Trap」は、プリンスっぽいミネアポリス・ファンクですね。

「プリンスがいなくなったことは、僕のなかでかなり大きくて。プリンス的なミネアポリス・ファンクを一番好きなのが、実は鈴木雅之なんですよ(笑)。マイケル・ジャクソンが亡くなったときも、僕のなかでは“まだプリンスがいるじゃないか”という思いが強かった。だから、彼が亡くなったことはすごいショックで。彼の次を担う人が早く出てきてほしいと思う。それと、マーヴィン・ゲイ、ルーサー・ヴァンドロス、ジェラルド・リヴァートの3人が、鈴木雅之が好きな三大ボーカリストだけど、3人ともいまやこの世にいない。でも、自分のなかで縁ということを心から言い切るきっかけを作ってくれたのは、そうした亡くなったアーティストたちだったんだよね。亡くなった瞬間、そこで歩みは終わるけど、音楽はずっと残っていくわけだから、残された者は、それを歌い継いでいくことが使命なんだと思っています」

――「夜空の雨音」のボーカルは絶品ですね。特にファルセットが印象的でした。

「ファルセットをこれだけ多用したというのは、今回が初めてかもしれない。ファルセットをあえて使わずにハイ・トーンで押し切るのが美学だと思っていた時期が、実はあったんですよ。ソウル・シンガーとはこういうものだというね。R&Bと呼ばれる世界のなかで、ベン・E・キングやサム・クックといった人たちのフェイクだったり唸り節的なものが自分のボーカルに見え隠れしているんだろうな、という思いがあったから。でもここに来てファルセットはいいフックになっている。そういう点も踏まえて、今回の『dolce』は、30年という歴史のなかで、ずっとぶれずに歌い続けてこれたことへの自信と感謝の気持ちが込められたラブソング・アルバムになりました」

――アルバムのラストは、マーチンさんらしい自作のドゥーワップ・ソング。

「最初のアイデアとして、すべての楽曲が映画的に映るようなイントロダクションをオープニングに入れようと。それで鳥山雄司にお願いして〈dolce vita〉を作ったんです。そうすると、アルバムの最後は、エピローグ的なものとして自分らしいオリジナルで締めたい。鈴木雅之にしか出せないオリジナルって何だろうと考えたときに、やっぱりドゥーワップしかないということで、アカペラの〈My Precious Lady〉を収録しました。そうした選曲とか構成を考えるのって、十代の頃から好きだったんですよ。好きなソウル・ナンバーをチョイスしたオリジナルのカセット・テープを作ったりした経験が、プロになってのアルバム作りやコンサートのセット・リストに活かされているよね」

(つづく)

文/木村ユタカ

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