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2021.09.03

シップス 仮屋理恵子&デイトナ・インターナショナル 小笠原希帆、ファッション業界人による音楽談義──「ファッションと音楽のゆくえ」

ファッション業界の音楽好きに聞く、音楽とファッションの話。 今回は、シップスの仮屋理恵子さんとデイトナ・インターナショナル「フリーダ」ディレクターの小笠原希帆さんが登場。 毎年、年末に開催されるアパレルブランドによるバンド合戦「LIVE DE X’MAS(ライブ・デ・クリスマス)」に演者として出演しているふたりに、自身の音楽人生の話とともに、音楽シーンの現状について語り合ってもらった。

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──バンド合戦「ライブ・デ・クリスマス」の出演バンドでは、どのような音楽を演奏されているのですか?

仮屋理恵子(以下、仮屋)
「シップスバンドは、ソウルやロックが中心で、たまに山下達郎系という感じです」

小笠原希帆(以下、小笠原)
「シップスバンドって、ボーカルのハモりを重視した選曲をしてませんか?」

仮屋「私がコーラスアレンジを作っているんだけれど、テーマ曲の色んなカバー曲を聞いてオマージュしてます(笑)」

小笠原「シップスバンドの選曲って上品な感じがします。元気一杯というよりもスマートなイメージ」

仮屋「以前は選曲がマニアックだったけれど、最近はアースウィンド・アンド・ファイヤーとか、なるべくメジャーでみんなが盛り上がれるような曲もやろうと。ノリの良い曲を選曲するように意識してます(笑)」

小笠原「その努力は感じられます(笑)」





──それぞれのパートは?

仮屋「私は基本的にはボーカル。あとはタンバリンとコーラス、幼少期にクラシックギターを習っていたので、たまにアコースティックギターをやってます」

──小笠原さんは?

小笠原「私はピアノです」

仮屋「コーラスはやってないの?いつもやっている風だけれど(笑)」

小笠原「一回だけやったんですけれど、弾きながらのコーラスが難しくて、まあできない(笑)。弾いている音を歌うならまだしも、弾いている音と全然違う音を歌うというのは無理でした」

仮屋「:ピアノはいつから?」

小笠原「幼稚園から中一までクラシックをやってました。ただ、クラシックをやっていた人間からすると、バンドの演奏が走り出すとムカつくんですよね(笑)。それってリズムが出来てからの話だと思っているから、バンドの練習ではメトロノームを流しています。みんな嫌がりますが」

──フリークスバンドはどんなジャンルを演奏されているのですか?

小笠原「おニャン子クラブの”セーラー服を脱がさないで”とかの歌謡曲をロック調にしたり、一方でビートルズもやるし。基本的にはロックですね」

──どんな音楽を聞かれてきたのでしょうか?

小笠原「父も母もビートルズよりもカーペンターズが好きな家で、母は掃除機をかけながらとか、お皿を洗いながらカーペンターズを聞いていて。でも、いわゆる家で聞く音楽だったので、当時はダサい音楽だと思っていて、まるで興味がなく。それこそジャニーズ系とか安室奈美恵を聞いていました」

仮屋「そっちに行くんだ」

小笠原「ひと通り行くんですよ!大学生になってから、ビートルズとカーペンターズをまた聞きはじめて、その時の友人からフィッシュマンズを教わってハマって、ボノボとか、ビートルズとか、 同時進行で聞いていました」

──フィッシュマンズが好きなら、レゲエにも行きそうな気がしますが

小笠原「意外とゴリゴリのレゲエには行かず、メロディーがしっかりあって、バックトラックがレゲエっぽい音が好きなんですよ。当時からつまみ食いみたいな感じで流行っていた音楽は聞いていて、ぽっと出のマイブームはありました」

──仮屋さんはいかがでしょうか?

仮屋「私の場合、二つ上の姉がいて、彼女の影響が7割程度入っているんですよ。朝から洋楽もあれば、それこそ山下達郎さんが流れていたりして、そういう音楽を聞いて生きてきました(笑)。中でも達郎さんの音楽が私のベースです。以前、姉に”いつから達郎さんを聞いていたの?”って聞いたら、高校1年生かららしく、私は中学生で、その頃から達郎さんを聞いていたわけだから、”私たちはセンスがあるよね”って(笑)」




山下達郎さんの音楽がベースだという仮屋さん。



小笠原「同級生に達郎さんを聞いている友人なんていなかったですよね?」

仮屋「音楽の話ができる人はほとんどいなかったし、姉も”いなかった”って。当時からマニアックな存在でしたけれど、昨今のシティポップブームで一気にきましたよね。小さい頃からそんな感じの音楽を聞いていたのですが、ちょっとだけジャパニーズヘビメタに行った時期も(笑)」

小笠原「そのきっかけは?」

仮屋「当時、アースシェイカーとか、ラウドネスとか、浜田麻里とかが流行っていた時代で、高校生で初めてバンドを組んだ時には、文化祭で浜田麻里をカバーしたり。でも、今、バンドをやっている理由って、その時に初めて人前で歌ったのですが、それがすごく気持ち良くて、忘れられないんですよ。大人になっても人前で歌えるなんて思ってもいなかったので、今はすごく楽しい」

──ヘビメタはそこだけですか?

仮屋「一応、ライブにも首を振りに行ってましたよ、トゲトゲのブレスレットをつけて(笑)」

小笠原「そっちに行ったんすね(笑)!」

仮屋「行っちゃったのよ(笑)!ギターのディストーションが好きで、あとは、早弾きとドラム。でも、その時もスティービー・ワンダーやアース ウインド・アンド・ファイヤー、クール・アンド・ザ ギャングとかの洋楽を聞いていましたけれど。基本的には、AORとかの綺麗なメロディーの曲が好きです。 私もチョイスしてそれだけ聞くというのはありましたし、そのジャンル、そのアーティストの全てが好きかというと、”ココとココだけ”という感じでした」

──小笠原さんは、ひと回りして幼少期に聞いていたカーペンターズやビートルズに戻られたという感じですが

小笠原「服も音楽も幼少期の頃に戻りますよね。家で流れていた、ダサいと思っていた音楽が好きですし、母が小さい頃の私に着せていた服って嫌だったのですが、同じような服をいま好き好んでいたりするし。結局、小さい頃のイロハって染みついている気がします」

──さて、音楽とファッションは繋がっていると思いますか?

仮屋「ファッション関係の人って、音楽好きな人が多いですよね」

小笠原「聞かない人はいないですもんね」

仮屋「繋がっているかどうかは分かりませんが、何かはあると思います。ただ私の場合、ファッションが良いから、そのアーティストを好きになることはないですかね。音楽は音楽で好きになって、ファッションはファッションで好きになったという感じです」

小笠原「服が好きな人たちって、音楽の好き嫌いを自分で決めそうですし。ただ、音楽の中でもよりこだわりってありますよね。私に関して言えば、フィッシュマンズは好きですが、他人の好きなフィッシュマンズの曲を出されてもそれは違ったりする。ボノボも最初はフィッシュマンズ的と言われてましたが、フィッシュマンズファンの中ではNG派もいる。だから、感覚の話だと思うんですよ。”こうじゃないからダブじゃない”とか、技術的というか、細かいディテールに関しては男の人の方が言いそうですけど(笑)」

──理論派みたいな人は、男性の方が多いかもしれないですね(笑)

小笠原「私は”良ければいい”と思うのですが、リーバイスの古着でも年代とか赤耳とかこだわりが強いですよね」

仮屋「お洒落に履けていればそれで良いんだけれどね(笑)」

小笠原「でも、”良くない?”みたいな部分で言うと、洋服とファッションとで通づる感覚かもしれないですね。本当に音楽が好きな人って、意外とハードルが低く設定してあったりしますし」

──最近の音楽で、良いと思ったアーティストはいますか?

小笠原「今ってTikTokで流れる音楽を調べて聞いたりしているのですが、最近だとVaundy(バウンディ)にハマっています。すごくエモいんですよ。TikTokって大体5秒で飛ばしてしまうので、そこでエモい、いわゆるエモーショナルとか、感情的でないとその曲に引っかからない。それで”この曲良さそう”って、曲をダウンロードする流れですよ」




TikTokの動画で流れるエモい曲をチェックするという小笠原さん。



──5秒で売れるか、売れないかが決まってしまうなんて、すごい時代ですよね

小笠原「そうなるとより雑食化が進んで、私自身、バウンディの過去を掘ろうとも思ってないですし、”ライブに行きたい”ともならず、さらにスワイプして次のアーティストの5秒の曲を聞いて、飽きたらビートルズを聞く」

仮屋「そこに戻るんだ(笑)。私は、じつはTikTokやっていません」

小笠原「”じつは”というか、まったくやってなさそう(笑)。 でも、TikTokで音楽に触れている人は多いと思います。”TikTok、エモい曲”で検索するとたくさん出てきますし。もう人に”最近、良い曲ない?”とか聞かないですよね」

──仮屋さんの最近のマイブーム的音楽は?

仮屋「NHKの朝ドラ”おかえりモネ”の主題歌、BUMP OF CHICKENの”なないろ”です。彼らの曲を聞いたことが無かったのですが、あの曲は良いなと。 最近、歌のレッスンをしていて、彼らの曲はマスターしたので、いつでもカラオケで歌えます(笑)」

小笠原「行きましょう(笑)!」

仮屋「でも、良いと思える音楽が最近は少ない気がしています」

──昔の音楽を繰り返し聞いている状態ですか?

仮屋「良い音楽は繰り返し聞いてますよね、山下達郎が中心ですけれど。たぶん一生聞きます。達郎さんの70年代とか80年代の頃の曲が良すぎて、いま聞いても”お洒落な曲だな”と思いますが、でも”何が?”と聞かれても答えられない。”色褪せない”とか”懐かしい”ではなく、いま聞いても新しいんですよね。ユーミンはノスタルジックになるのですが、達郎さんは一切ならない」

──ラジオ番組「サンデーソングブック」も毎週エアチェックされている?

仮屋「もちろん!ただ、あれは選曲がマニアックすぎて分からないです(笑)。たまに達郎さんのライブ音源特集があるのですが、その時は最高ですよね。日曜日の午後2時から、コーヒーを飲みながら聞いてます」

小笠原「サーフィン終えて、コーヒー入れて、達郎さんのラジオ聞くって、豊かな生活っぽいですね(笑)」

──「シチュエーションで聞きたい曲」みたいな音楽はありますか?

小笠原「夜に聞きたい曲はあります。私は夜と朝で聞きたいフィッシュマンズの曲が違ってて、”ナイトクルージング”は朝起きた時には聞かないですよね。一応、そういうすみ分けはあります」

──気分的な部分でしょうか

小笠原「夜の方がゆったりしたいからかな。夜の散歩が好きで2時間くらい歩くのですが、その時に”ナイトクルージング”的な浮遊感のある音楽を聞いてますね」

──「ナイトクルージング」を聞きながら歩くと、どこを歩いているのか分からなくなりそうですね

小笠原「そういう風になりたいんですよ。夏の夜とかにのんびり散歩したい時」

仮屋「私は、あまり朝昼晩とかのシチュエーションでは分けないかな。達郎さんはいつでも聞いていたいですし。その時期に聞きたいと思う曲のプレイリストを作っていて、それを聞いていますね。それに飽きると、新しいプレイリストを作るみたいな。そこに達郎が入ったり、”なないろ”が入ったり。あとはバンドの課題曲を入れて、それを聞きながら練習する感じですかね。ここ2年くらいは、ライブがないので更新されていないですが。 そういえば、私、よくバンド合戦の後の飲み会で、関係者のみなさんに”あなたにとって音楽とは?”という質問をしているんですよ。私は”心を豊かにするもの”で、心の栄養ですよね。つねに摂取していないと調子悪くなる、エネルギーみたいなもの。希帆ちゃんは?」

小笠原「”毎日をエモくするもの”、エモーショナルにするものかな。なんてことない日常だけど、音楽を足すだけで気分が良くなったり、つまらない夜道に浮遊感が生まれたり、楽しい気持ちになれたり、そういう心をアップデートさせてくれるもの。 じゃあ、仮屋さんが人生で一番好きな曲は?」

仮屋「山下達郎の”ラブ スペイス”です。 希帆ちゃんは?」

小笠原「私はビートルズの”オール ニード イズ ラブ”。自分の結婚式の音楽をすべてビートルズにしたのですが、入場曲はこの曲でした。一番好き! だから、出棺もこれにします(笑)」

仮屋「私も”ラブ スペイス”にして欲しい(笑)!葬式中はずっと達郎さんの曲をかけてくれればいいかな」

小笠原「オッケ(笑)!」

──ありがとうございました

(おわり)





仮屋理恵子(写真右)

シップス営業管理部営業管理2課 課長
1969年生まれ。
短大2年生でアルバイト入社、1990年新卒採用で正社員。
販売員10年、商品部10年を経て2010年より現職に。
主な業務はVMD。

小笠原希帆(写真左)

デイトナ・インターナショナル フリーダ ディレクター
FREAK’S STORE店舗スタッフ、プレスを経て2017年春からFreadaをスタート。「わたしがいま本当に着たいもの」を作ることを大切にし、古着のリメイクや民族衣装のようなエスニックアイテムを中心に展開している。

写真/野﨑慧嗣
取材/久保雅裕(くぼ まさひろ)
ナビゲーター・取材・文/カネコヒデシ





久保雅裕(くぼ まさひろ)
(encoremodeコントリビューティングエディター)

久保雅裕(くぼ まさひろ) encoremodeコントリビューティングエディター・ウェブサイト「Journal Cubocci(ジュルナル・クボッチ)」編集長。杉野服飾大学特任教授。繊研新聞社在籍時にフリーペーパー「senken h(センケン アッシュ)」を創刊。同誌編集長、パリ支局長などを歴任し、現在はフリージャーナリスト。コンサルティング、マーケティングも手掛ける。2019年、encoremodeコントリビューティングエディターに就任。

カネコヒデシ
カネコヒデシ メディアディレクター、エディター&ライター、ジャーナリスト、DJ。編集プロダクション「BonVoyage」主宰。WEBマガジン「TYO magazine」編集長&発行人。ニッポンのいい音楽を紹介するプロジェクト「Japanese Soul」主宰。そのほか、紙&ネットをふくめるさまざまな媒体での編集やライター、音楽を中心とするイベント企画、アパレルブランドのコンサルタント&アドバイザー、モノづくり、ラジオ番組製作&司会、イベントなどの司会、選曲、クラブやバー、カフェなどでのDJなどなど、活動は多岐にわたる。さまざまなメディアを使用した楽しいモノゴトを提案中。バーチャルとリアル、あらゆるメディアを縦横無尽に掛けめぐる仕掛人。









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