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トピックス
2016.09.28

ポール・ギルバートのZepp東京で行われたライブの模様をレポート

MR. BIGのポール・ギルバートが9月26日、Zepp東京でデビュー30周年記念ライブ「“PG-30” PAUL GILBERT : DEBUT 30th ANNIVERSARY SPECIAL CONCERT」を実施した。一夜限りとなるスペシャルな来日公演で、この模様は会場すぐそばのZeppダイバーシティをはじめ、Zeppなんば大阪、Zepp名古屋、Zepp札幌に同時中継され、各地のファンがポールの超絶プレイを堪能した。

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デビュー30周年記念ライブ1発目は、40分にわたる怒涛の、そして圧巻としかいようがないスペシャル・メドレーだった。1986年にレーサーXのギタリストとして音楽キャリアがスタートしたポールの30年間を総括したもので、レーサーX時代、MR. BIGのヒット曲、ソロの代表曲からチョイスされた35曲をインストゥルメンタル・バージョンで披露。ノンストップでラストまで展開していったこのメドレーは、練りに練られたアレンジで、ベースのケヴィン・チャウン、ドラムのトーマス・ラングとの息もぴったりで完璧ともいえる演奏であった。

このメドレー自体がスペシャルなものであったのだが、今回はさらなるスペシャルが盛り込まれていた。メドレーの25曲目となる「ゲット・アウト・オブ・マイ・ヤード」で、大人顔負けの速弾きをキメまくる天才小学生ギタリストとして知られるLi-sa-Xがステージに現れ、“ヒューマン・カポ”の役割を務めたのである。カポとはご存じのとおり、ギターのネックに挟み込み、開放弦の音の高さを変えるためのものだが、「ゲット・アウト・オブ・マイ・ヤード」は目まぐるしくキーが変わるため、特定の箇所だけに固定する器具のカポでなく、移動可能なカポ、すなわち人力が必要となる楽曲。そこでZepp東京にやって来たのがLi-sa-Xというわけで、彼女は、楽曲が持つスピード感にまったく遅れることなく、カポがわりとなる自身の人差し指の移動を繰り返し、ポールのプレイを見事なまでにサポートした。もちろん、場内は大喝采。それに応えてLi-sa-Xも高々と右手を挙げ、役目を終えるとステージ上手に去っていった。

Li-sa-Xのていねいな紹介はなかったのだが、これはメドレーの最中であったことから、プレイの流れを優先させたからである。しかし、これが今回のポールのデビュー30周年記念ライブの特徴であったともいえる。言葉や演出に頼ることはせず、ポールはあくまでも演奏で自身の30年間のキャリアを表現した。メドレーのあとも、チューニングの最中や水を飲むときに少し言葉を発する程度で、バンドは演奏することに徹していた。

序盤のメドレーのあとは、トニー・スピナーとフレディ・ネルソンというふたりのギタリストが加わり、5人編成となった。普通は3台ものギターが同時に鳴り響くと、かなりの大音量となるのだが、今回はまったくそうならなかった。また、ギタリストとしての技量は3人とも相当なものだが、テクニックを全面に押し出すことよりも、楽曲を活かすプレイに全員が専念していた。たしかにポールの速弾きはどの曲でもあちこちに飛び出すのだが、それだけが浮かび上がることは決してなかった。ポールの速弾きは独立したものでなく、きちんと楽曲の一部として組み込まれた“ワザ”となっていたのだ。

いちばん新しい自分をアピールしていたこともすばらしかった。昨年末に発表した最新アルバム『I CAN DESTROY-ブッこわせるぜ!-』には13曲が収録されているが、そこから7曲が披露されたのだ。アニバーサリーをフックとしたライブはどうしたって代表曲中心のセットリストになりがちだが、ポールはそれを序盤のメドレーに集約させ、そのあとは『I CAN DESTROY-ブッこわせるぜ!-』、すなわち最新モードの自分をたしかな演奏と歌でストレートにアピールしたのだ。とくに、広く知られたハードロック、ヘビーメタルのポールとはひと違う「ブルースに救われて」におけるブルースの表現は、この人の懐の深さを知るには十分なパフォーマンスだった。

約2時間半のライブが終了してもっとも強く感じたのは、速弾きギタリストとしてのポールでなく、現役として新しいなにかを探究するミュージシャン、アーティストとしてのポールだった。これまで以上にていねいだった演奏は、自身のソウルをより繊細に表現しようとしたからこそ生まれたものであると考えられるし、PAバランスも申し分なかった。ロック・バンドというより、小編成のオーケストラのライブを楽しんでいたのかと思うほど、非常に美しいアンサンブルとして鳴り響いていた。デビュー30周年という大きな節目に、単にキャリアを総括するのでなく、まだまだ転がり続けるのだという強い意志がすべての音に乗っていたからこその美しさのように思えた。そのことがなによりも感動的だった。

文/島田諭
撮影/吉浜弘之



PAUL GILBERT
「“PG-30” PAUL GILBERT : DEBUT 30th ANNIVERSARY SPECIAL CONCERT」
September 26th, 2016 at Zepp Tokyo Setlist


1.Massive Medley (Power Trio) 35 songs medley in 35 minutes – All instrumnental

includes:
1. Street Lethal ~ 2. Into the Night ~ 3. Blowin’ Up the Radio ~4. Scarified ~ 5. Take a Walk ~ 6. Anything For You ~7. Daddy, Brother, Lover, Little Boy ~ 8. Green Tinted Sixties Mind ~ 9. Nothing But Love ~ 10. A Little Too Loose 11. Champagne~12. Seven Impossible Days ~ 13. Down to Mexico ~ 14. Gilberto Concerto ~ 15. Individually Twisted ~ 16. Girls Watching ~ 17. Snakebite ~ 18. Fire of Rock ~ 19. Bliss ~ 20. I Like Rock ~ 21. Superheroes ~ 22. Viking Kong ~ 23. Boku No Atama ~
24. Spaceship One ~25. Get Out of My Yard (with human capo) ~
26. Hurry Up ~ 27. The Curse of Castle Dragon ~ 28. Haydn Symphony No. 88 Finale ~ 29. Silence Followed By a Deafening Roar (violin bow end) ~
30. The Last Rock and Roll Star ~ 31. Fuzz Universe ~ 32. Olympic ~
33. Enemies (In Jail) ~ 34. Vibrato ~ 35. Eudaimonia Overture

2. Everybody Use Your Goddamn Turn Signal
3. I Can Destroy
4. Knocking on a Locked Door
5. One Woman Too Many
6. Woman Stop
7. Gonna Make You Love Me
8. Blues Just Saving My Life
9. Paris Hilton Look-Alike
10. Enemies (In Jail)
11. Older Guy
12. Black Rain Cloud
14. Atmosphere on the Moon
15. Better Chords
16. Drum Solo
17. Masa Ito Theme
18. I’m Not Afraid of the Police
19. I Am Not the One (Who Wants To Be With You)
20. Adventure and Trouble (“Reprise.” PG sings one solo verse. Band joins for the ending jam.)

Encore:
21. My Religion
22. SVT



■リリース情報
ポール・ギルバート『PG-30~ベスト・オブ・ポール・ギルバート』
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ポール・ギルバート『I CAN DESTROY-ブッこわせるぜ!-』
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ヒューマン・カポを見事にこなした天才小学生ギタリストのLi-sa-Xと

もちろんドリルを使った超高速ピッキングも披露

序盤のメドレー終了後はギタリストが2名加わり5人編成に

デビュー30周年の総括だけでなく、今後も走り続ける意思を見せたポール・ギルバート



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