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特集
2015.08.07
ギターが作る音楽の世界

ギターが作る音楽の世界

encore8月の特集は「ギター」をテーマにお送りします。ロック/ポップスサウンドの中核のひとつである楽器=ギター。その魅力とは? まずはギターサウンドの王道である“ロック”を奏でるギタリストについて、数多くのギタリストを取材されてきたギター専門誌「YOUNG GUITAR」の編集長・上田慎也さんにお話を伺いました。

第一回
ロック・ギタリストの世界

いわゆる“ロックギター”のサウンドの始まりは60年代後半に登場したジミ・ヘンドリックスであると上田さんは言う。
「ジミヘンがいなかったら、今のロックギターのスタイルはなかったと言っても過言ではありません」
「ジミヘンのギターは、プレイにしろサウンドにしろ、とにかく革新的だったんです。ジミヘン以前のギターというと、クリーントーンでコードを鳴らす、歌に対しての伴奏というイメージが強かったと思います。それをファズ・エフェクターで歪んだ音にする、いわゆる“エレキギターのロックサウンド”にして世に広めたのがジミヘンでした。一番の特徴は、左利きの彼が右利き用のギターを左右逆さまにして使っていたということ。それによってまずは見た目が特異になりますよね。また、ネックを手で握るようにしてコードを押さえるのも特徴です。コードにテンションを加えて独特な響きを持たせた#9thというのをよく使っていて、いつしかそれが“ジミヘンコード”と呼ばれるようになりました」

ジミヘンの出現によってさまざまな意味で飛躍的に幅の広がったロックにおけるギター、ギタリストの存在は、70年代後半から80年代に入ると本格的に花開くこととなる。
「その頃からギターヒーローと呼ばれる人たちがたくさん出てきました。エドワード・ヴァン・ヘイレン(ヴァン・ヘイレン)を筆頭に、ランディ・ローズ(クワイエット・ライオット/オジー・オズボーン)、ジョージ・リンチ、イングヴェイ・マルムスティーン(ライジング・フォース)など……。このあたりのギタリストはアイコン化というか、エディだったらストライプのペイントを施したギター、イングヴェイ・マルムスティーンだったら胸元がヒラヒラした衣装など、一目見てわかるアピアランスがあったのも特徴だと思います。もちろん技術的にも発展していて、エディの代表的なものにライトハンド奏法がありますよね。このほかにもタッピング・ハーモニクスだとかハミングバード・ピッキングだとか、数えきれないほどの技を発明しています。おまけに彼の場合は音も良い。よく“ブラウン・サウンド”と形容されますけど、エディは細かいテクニックだけじゃなく、音の良さ、さらには覚えやすいリフなどトータルのバランスがすごくいいんです。やっぱり、どれだけすごいスキルを持っていても、それを生かすいい曲を書けないと意味がないですから」

彼らが活躍する少し前、いわゆる“三大ギタリスト”についても触れないわけにはいかない。
「三大ギタリストとして一般的に挙げられるのが、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ(レッド・ツェッペリン)ですが、前者2人がその巧さが話題となったのに対し、ジミー・ペイジはリフのセンスや、独特の変則チューニングでの演奏など、ジミ・ヘンドリックスと同じように、発明家的センスのあるタイプだと思います。スキルがあることや、一聴しただけでわかる “自分の音”が出せることももちろんですが、突き詰めていくと“いかにいい曲が書けるか”——そこに辿り着くような気がします」
(つづく)

取材協力 「YOUNG GUITAR」 1968年創刊。ハードロック、へヴィメタルを扱うギター専門誌として、長年にわたり支持を受け続けている。海外の有名ギタリストが飾る表紙・特集企画と連動したDVDによる奏法解説など、多面的な企画が好評。毎月10日発売。最新9月号は8月10日発売。公式ウェブサイト


80年代を代表するハードロックバンド、ヴァン・ヘイレン。当時ライトハンド奏法は、エドワード・ヴァン・ヘイレン(右から2人目)の枕詞となっていた

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