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特集
2015.06.26
大貫妙子 その音楽、旅、現在地

“旅”がくれるもの(後編)

バンドネオン奏者・小松亮太との共同名義による最新アルバム『Tint』を発表した大貫妙子の世界を“音楽”“旅”のキーワードでひもといてきた特集も、今回で最終回。『Tint』から感じることができる、彼女の現在地とは?

光を求めて
遠回りしたこともある

大貫妙子が音楽というものに目覚めたのは中学時代。しかも、クラシックではなく、フォークやロックだったため周囲には共通の話題を持つ友人がいなかったという。

「友達はほとんどいませんでした(笑)。でも、音楽に夢中だったのでそれが支えのようなものだったのかも。自分の求めているものは、ちょうどトンネルの先に見える出口のようなところ。そこに小さいけれども光が見えた。だからそこへ向かって行けばいいのだと。長い間にはその出口を見失いそうになったことは何度もありますが、そういう時は初心に戻って探す。トンネルだってまっすぐではないから、思いきって遠回りしてみると、また光が見えてくる。自分の求めていたものの在りかは、音楽だけではなく思いを共にする仲間たちのいる場所だったんですよね。そう思って気がつくと、いつの間にかもうトンネルを出てしまったのか、出口は見当たらなくなっていたんです」

彼女にとって音楽は光そのものなのかもしれない。けれども、光とは暗闇があってこそ光り輝くものであり、いざその光の中に入ると周囲と同化してしまって見えなくなることがある。それは彼女にとっても同じで、あれほど好きだった音楽を嫌いになったことや投げ出したくなったことは「何度もある」という。さらに驚くことに、彼女は40代に入るまでライヴで歌うのが苦手だったそうだ。

「ステージに上がる前から、自分の心臓の音が聞こえるくらい(笑)。もう、声は出ないし“こんなんでいいのだろうか”って。結局最後まであがっている状態、30代まではずっと。でも“やっぱり、こんなんじゃいけない!”と思って、とにかく何とかしようとあれこれ試し続けているうちに、ある日バーッと、自分の目の前におりていた見えない幕が落ちるみたいな状態の時があって……それからですね。それからやっとです。一歩ずつ歌と向き合えるようになったのは。今もさらに更新中です」

アンテナを立て続けているから
素敵な出会いに巡り合える

そして、大貫妙子はこうも話してくれた。

「大好きで始めた音楽でも、やめたくなったことは何度もあります。それは音楽そのものというより、他の要因が大きかったからですが。でもまた続ける羽目になるというか……周りの助けと励ましがあって。ほんとに感謝しています」

思えば、彼女のキャリアはたまたま出会った山下達郎らと結成したシュガー・ベイブであり、ソロになって以降も、ヨーロッパ調への転向を見事に成功させたプロデューサー・牧村憲一、初期の頃から多くの作品を共に作り、2010年には連名でアルバム『UTAU』を発表した坂本龍一など、彼女の音楽人生には要所要所において、重要な人物との出会いが関係している。今回の『Tint』でも、小松亮太という魅力的なバンドネオン奏者と出会わなければ誕生し得ないものだったろう。

「アンテナは、いつも立ててますからね、“バイーン!”って。見えないかもしれないけど(笑)。ワクワクしたり、尊敬できたり、心から素敵と思えるもののイメージは、つねに持ち続けています。そうすると必ず出会はあります。音楽だけに限らず人はそういう相手を必ず探していると思うんですね。その人同士アンテナの周波数が合う時がある。そのためにも感度のいいアンテナが大事(笑)。ある日、車に乗っているときに、たまたまつけたラジオからすっごくかっこいい音楽が……それでパリに行っちゃったこともあるんですけど、まさに周波数(笑)」

自らの原動力となるものをその手で選び取ってきた彼女は「だから今回のように、15年待っても、小松さんと“一緒にやりたい”という気持ちが褪せることなく作品に結びついたことは喜びです」と話す。 今やりたいことを、今出来る、作ることができる。これはミュージシャン、シンガーにとってとても幸せなことだ。最新作『Tint』には、その喜びの気持ちが躍動している。
人との出会いが旅ならば、その一期一会をきっかけにして、これからも大貫妙子はその衝動に忠実に音楽を奏でていくに違いない。その道程の、最新地点である『Tint』をぜひその耳で、その目で確認してほしい。

小松亮太(左)、大貫妙子(右)

大貫妙子

1973年、山下達郎らとシュガー・ベイブを結成。75年『SONGS』をリリースするも76年解散。『Shall weダンス?』 (監督:周防正行 96年)のメインテーマや、第21回日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞した『東京日和』(監督: 竹中直人 98年)の音楽プロデュースなどCM・映画音楽も数多く手がける。

6月20日~26日までUSENのチャンネル「C-47 NEW DISC HEALING」で今回のアルバム『Tint』を放送。また、7月1日 から1ヵ月間、おなじくUSENのチャンネル「B-64 坂本龍一/commmons」で大貫妙子を特集!

大貫妙子と小松亮太コンサートツアー「tint」

2015年10月3日(土)

  • 会場:とぎつカナリーホール(長崎県)
  • 主催:KTNテレビ長崎
  • 問:KTN事業部 095-827-3400

2015年10月10日(土)

  • 会場:道新ホール(北海道)
  • 主催:株式会社道新文化事業社
  • 問:道新プレイガイド 011 -241-3871

2015年10月16日(金)

  • 会場:Bunkamuraオーチャードホール(東京)
  • 主 催:東京音協
  • 問:東京音協 03-5774-3030(平日10:00~17:00)

2015年10月24日(土)

  • 会場:八ヶ岳高原音楽堂(長野県)
  • 主催:株式会社八ヶ岳高原ロッジ
  • 問:八ヶ岳高原ロッジ 池袋情報サロン 0267-98-2131

2015年10月31日(土)

  • 会場:NAGOYA BLUE NOTE(愛知県)
  • 主催:NAGOYA BLUE NOTE
  • 問:NAGOYA BLUE NOTE 052-961-6311


大貫妙子 Billboard Live Tour 2015

昨年、デビュー40周年の節目に、ただ一夜のアニバーサリーコンサートが即日完売話題となり、ビルボードライブで行ったアンコール公演でも強い存在感をみせた大貫妙子。2015年、同じ豪華バンドメンバーで東京・大阪の3Days公演が実現することになった。「新曲はまずライブで発表。そして演奏を重ね、その後に音源化が理想」と語っているだけに、今年のツアーも見逃すことができない充実と興奮のライブとなることは間違いない。

メンバー:大貫妙子(Vo)、小倉博和(G)、鈴木正人(B)、沼澤尚(D)、林立夫(D)、フェビアン・レザ・パネ(Apf)、森俊之(Key)

予約受付開始:<Club BBL会員>7月16日(木)、<一般>7月23日(木)

2015年9月16日(水)、29(火)

  • 会場:Billboard Live TOKYO
    <1st>17:30 OPEN 19:00 START
    <2nd>20:45 OPEN 21:30 START
  • 料金(税込):自由席7,900円 Casual(1DRINK付)5,900円
  • ご予約・お問合せ:03-3405-1133

2015年9月23日(水・祝)

  • 会場:Billboard Live OSAKA
    <1st>15:30 OPEN 16:30 START
    <2nd>18:30 OPEN 19:30 START
  • 料金(税込):自由席7,900円 Casual](1DRINK付)6,400円
  • ご予約・お問合せ:06-6342-7722