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「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」by SMART USEN



[section heading="ゲストスピーカー"]

野尻美穂
ファッションディレクター。セレクトショップのプレスを経て、2016年からフリーランスに。シップスとコラボレーションしたWai(ワイ)、Prefer SHIPS、ナノ・ユニバースとのTIMELESS CLOSETのディレクションなどの他、スタイリング、コンサルティングも手掛けている。

[section heading="セレクトショップ時代の厳しさがあってこそ"]

――ファッションディレクターという道を選ぶ前はセレクトショップで働いていらっしゃったのですよね。

「はい。最初の4年はショップスタッフとして、その後の6年間はプレスという立場で働いていました。当時の現場は、とても厳しかったのですが、ファッションが大好きで、お客様と話せるのが楽しかったですね。だから、厳しいからやめたいと思ったことは一度もありません。セール前は残業もあり忙しかったですが、せっかくだからお客様に楽しんでお買い物してもらおうと、他のスタッフといっしょにセールを盛り上げることを考えていました。最近の現場は、おそらく当時ほど残業などもなく、厳しさも違っているんだと思います。さまざまな働き方があると思いますが、私は厳しい時に働いていたからこそ、いまの自分があると感じています。社会人としてのベースをこの時に学べたのではないかなと思っています」

――ショップでのお仕事も充実していたなかで、プレスに転身されたのはなぜですか?

「お客様と話をして、その人に何かを持って帰ってもらえることがうれしかったんです。“今度ゆっくり来ますね”と、その日は買い物をされなくても、その後、リピーターになって、ファッションを楽しんでくださっているのを見ていると私自身が幸せな気分になれました。ショップスタッフ時代は、目の前にいるお客様が“いま何を求めているか?”、“どういう提案をしたら満足してもらえるか?”を考え、伝えていたのですが、もっと幅広くファッションの魅力を伝えていきたいと思い、プレスに興味を持つようになりました。所属した当初は、相手に何かを伝えるということはもちろん、ブランドの良さをより多くの方に知ってもらうにはどうしたらいいのか、自分の中で試行錯誤しながらも、相手に満足してもらえる何かを探して日々奮闘していました。シーズンごとの展示会でも、見に来てくださるジャーナリストや編集者の方たちから学ぶことが多く、本当に新鮮でした。媒体の編集者の方と話をしていくなかで、“これを次号の企画にしよう!”という発展もあり、ファッションを仕事としている事にとてもやりがいを感じられる瞬間が多々ありました。いまでもそれは活かされているし、忘れちゃいけない経験になったと思います」



[section heading="“あったらいいな”を形にするために"]

――フリーランスのファッションディレクターという道を選んだのは勇気がいる決断でしたよね。

「実は、セレクトショップにいた頃からバイヤーにも興味があったのですが、縁がなく……。プレス時代も、良いものを伝えるという気持ちから、“こんなアイテムがあったらいいな”と思うことが多かったんです。それをきっかけにプレスをしながら商品企画に携わらせていただく事もありました。フリーになった時、初めはPRのお仕事もいくつかさせていただいていました。それ以外にもスタイリングや、キャスティングという新たなトライもしている中、ナノ・ユニバースさんから商品コラボのお話をいただいて、ディレクターとしてのキャリアもスタートしました」



――伝える立場から、作る立場になってみてどうでしたか?

「初めてのことだし、自分が良いと思ったものをかたちにするということにとてもプレッシャーは感じていました。不安でしたが、多くの方が興味を持ってくれて、よろこんで着てくれているのを実際に見たり聞いたりすることができた時は、感動して涙したこともありました。ここまで至るにはたくさんのスタッフやメーカーさんの力が無くてはできない事で、毎回感謝しています。服作りって、決断の連続なんです。色、素材ひとつとっても、その時その場で決断しなければならないというプレッシャーがあります。サンプルが上がってきて、イメージが違うことももちろんあるし、その時にそれをどうシフトチェンジして、良いものにできるか、毎回毎回自分の感覚を信じて作っています」

――現在はナノ・ユニバースとシップスの2社とコラボされていますが、デザインするときに意識されていることはありますか?

「自分の中でイメージするそれぞれのブランドでやりたい事がブレないようにしっかり軸を作ることです。それがブレてしまうとお客様も迷ってしまうと思うんです。ブランドに対するファン層もそれぞれ分かれていますし。考えていくうちに“このブランドではこの洋服が着たい!”というイメージが出てくるので、それがいまではスポーツだったり、モードだったりという、自分の中でのキーワードをうまく取り入れています。ブランドのカラーと私のファッション感のイイトコドリを提案できたらなと思って取り組んでいます。その先にある目標は、どちらで提案している事にも興味を持ってもらえることですね」

――スポーティーだけでもモードだけでもない、まさに女性が理想とするクローゼットを提案しているようですね。

「いまのファッションを見ていて、感じることは、個性的なのに、みんな同じように見える事。私自身の好みが変わったからかもしれませんが、いままでは好みのブランドもみんな違って、着てるアイテムに興味がたくさんあったと思うんです。でもいまは、みんな好みが似ているから、どこのものか大体わかったり。悪いことでは全くないけれど、何かそこに深堀りできることがあったらもっとファッションも楽しくなるのではないかと思います。みんなが知っているブランドとのコラボでは、素材で遊んでみたり、そのブランドではいままでにないデザインを取り入れてみたり。“いままでと違うね”という人がいるとうれしいなと思って商品を企画しています。たとえば、ナノ・ユニバースで手掛けたグラミチとのコラボでは、綺麗めなスラックスを作りたくてジョーゼット素材を使ってみたり、シップスでは、水着にオンしてタウンでも着られるパイルやメッシュの服を作ってみたり、いままで無かった“あったらいいな”を作るようにしています。そうして求められているものに応えられたらなって」



[section heading="自分ができることを世の中に"]

――今後の活動について教えてください。

「自分が着たいと思うものが、みんなが着たいと思えるものになれたらいいなと思っています。客観的に考えられて、ひとりでも多くの人に満足してもらえることを生み出せるように。初心を忘れないように。いまの自分があるのは、たくさんの人たちのおかげです。なので、自分がやりたいことをやることによって、誰かを幸せにできることが私の幸せなのかなと思います。フリーランスになってから、より自分ができることを世の中のためにと思うようになりました。デザインもそうですが、SNSでも、出かけるときにTPOを考えたコーディネートの参考にしてもらえたらと思い、発信しています」

――最後に野尻さんにとってファッションとは?

「いままでは自己満足って答えていたんですが、ファッションで誰かの役に立てる人でありたいんですよね。“自己表現の武器”でしょうか。自分らしさを表現するツールであり、それを見てくれた人が、参考にしてくれたり、“これ欲しかったんだ!”と思ってくれたりしたら幸せですね」

――幸せのおすそ分けですね。野尻さん自身が楽しんでいて、そのハッピーが伝わってくるから、野尻さんのファッションは魅力的なのかもしれないですね。

(おわり)

取材・文/林 ゆり(Y’s company)





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