fl_151005_violon_main

選曲家の声
2015.10.05

蓄音機が奏でるクラシックSPレコードコンサート

レトロ喫茶で開催されるクラシックレコードのコンサート。解説を務める板倉重雄さんが語るクラシックの聴き方とは?

——クラシックSPレコードコンサートは、約100回の開催を数えるそうですね。

「はい。21世紀になったのを機に2001年1月から始めて、もうすぐ15年になります。私は初回からずっと解説を担当しています。毎回いらっしゃる方、遠方から聴きに来てくださる方もいます。年末の開催時には、お客様で満員になりますね」

——蓄音機でクラシックのレコードを聴く、というのは、今はなかなかできない体験ですよね?

「ぜんまい巻きの蓄音機は1950年くらいまで使われていました。20世紀前半の厳しい時代の音が流れ出てきます。情緒があり、人に感慨をもよおさせる味わい深い音色です。また、SP盤は約4分半なのですが、15分程度の曲でも3回、30分、1時間の長い曲ともなると何度も何度もレコードを入れ替えます。その煩わしい作業が入ることによって、当時と同じ聴き方で、時代の空気みたいなものが音楽と混ざり、曲の印象をより一層深めるんですよね。同じ演奏でも、デジタルで聴くのとは感じ方が違うと思います」

——USENのチャンネル解説もされていますが、どのように選盤しているのですか?

「毎月テーマを決めてからレコードを選んでいます。今年だと、サティの没後90年とか、シベリウス、ニールセンの生誕150年とか。作曲家って、こういうアニバーサリーに再評価されるんです。あとは、2月はヴァレンタインで恋愛に絡めたり、6月はジューンブライドで選んだり。こういう女性目線は私には難しいのですが、チャレンジのつもりで選盤しています(笑)」

——クラシックは、聴き慣れていないと、難しい印象があると思うのですが。

「実はクラシックは世の中に溢れているんです。CMなどで流れているメロディを探してみると、クラシックだった、ということがたくさんあると思いますよ。そして、ぜひ、楽曲の最初から最後まで聴くことをおすすめします。1時間を超えるような壮大な曲は、作曲家が起承転結で構成しており、人間が持つ明と暗、豊かな感情の動きなどを表現しています。曲の一部を聴くのとは、受ける感動が全く違いますよ」

——秋~初冬にかけて聴くのに、おすすめの作曲家を教えてください。

「芸術の秋ということで、メロディがきれいなブラームスの室内楽なんかいいですね。交響曲のような力が入った作品より、語らいや本音で作られている彼の室内楽は、センチメンタルではありますが、しっとりしていてリラックスして聴けますよ」

板倉重雄

SPレコードコンサートを店と共同主催する板倉重雄氏。ご自身はクラシックレコードを2万枚以上所有

蓄音機

レコードコンサートに使われている蓄音機。レコードを1枚流すごとに針を換え、ぜんまいを巻く。その気怠さがまたよい、と板倉氏は言う

“これがオススメ”

ブラームス:クラリネット五重奏曲ほか
アーティスト: アルフレート・プリンツ(クラリネット)、ウィーン室内合奏団
タイトル: 『ブラームス:クラリネット五重奏曲ほか』
「クラリネット五重奏曲 ロ短調 作品115」は、ブラームス晩年に完成された代表的な室内楽曲の1つ

ブラームス:ピアノ四重奏曲第3番、ピアノ五重奏曲
アーティスト: 田部京子(ピアノ)、カルミナ四重奏団
タイトル: 『ブラームス:ピアノ四重奏曲第3番、ピアノ五重奏曲』
「ピアノ四重奏曲第3番ハ短調 作品60」。ブラームスが3番目に発表したピアノ四重奏曲

violon
ヴィオロン
東京都杉並区阿佐ヶ谷北2-9-5
http://meikyoku-kissa-violon.com/