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選曲家の声
2017.04.07

シェイ・セラーノ著『ラップ・イヤー・ブック』でHIP HOPの歴史を俯瞰で見る/聴く

かのニューヨーク・タイムズ紙もリストアップしたという全米ベストセラー、『ラップ・イヤー・ブック イラスト図解 ヒップホップの歴史を変えたこの年この曲』が邦訳された。本書は1979年から2014年までのHIP HOP史に名を刻む“最も重要なラップ・ソングを見極めること”を試みた、まさに“イヤー・ブック”=年鑑と呼ぶに相応しい良書だ。

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エンサイクロペディア、と呼ぶには些か恣意的に過ぎるだろうし(何せ取り上げているのはたったの36曲だけ!)、かと言ってディスクガイドと呼ぶには、ひとつのアイテムに充てられた熱量がハンパない。そういう意味では、やはり年鑑というタイトリングが正解なのだろう。

序文を寄せたアイスTが「“重要な”曲というのは、音楽の方向性を変える、あるいは、新たな要素を持ちこむ曲のことだ」と定義しているとおり、『ラップ・イヤー・ブック』が取り上げているのはそんなラップ・ソングたちだ。ランDMC、スリック・リック、N.W.A.、パブリック・エナミー、ATCQ、ドレー、スヌープ、ウータン、ビギー、トゥパック、エミネム、ジェイZ、ナズ、50セント、カニエ……おそらくHIP HOP好きなら絶対に知っているはずのあの曲を、ひとつづつ、ものすごく丁寧に解説している。対訳付きの歌詞、当時の時代背景、ピープルツリー、反証などなど。そして本書の特徴がリリックを可視化した“スタイル・マップ”だ。アルトゥーロ・トレスのイラストレーションも素晴らしい(久しぶりに井上三太が読みたくなった)。

イヤー・ブックというタイトルだが、順を追って読み進める必要は全くない。無作為に開いたそのページを読むだけで十分に楽しめるし、著者のシェイ・セラーノが記しているとおり、1年に1曲だけを選び出すのは実に悩ましい作業だっただろう。例えば1992年のページにアレステッド・ディヴェロップメントの「テネシー」は入っていないし(本書のセレクトはドレー/スヌープの「ナッシン・バット・ア・G・サング」)、86年は「ウォーク・ディス・ウェイ」も「ファイト・フォー・ユア・ライト」も落選。ミッシー・エリオットがデビューした97年のセレクトはディディ/メイスだし……と読み手の想像力を掻き立てるのだ。

著者のウィットに富んだ文体には読ませる力があるし、その現場感を殺さず日本語に置き換えた小林雅明氏の翻訳も見事。HIP HOPファンのみならず、90年代以前のHIP HOPを知らない世代にとって、きっとよい参考書になるはずだ。

さて、音楽アプリ「スマホでUSEN」では、この『ラップ・イヤー・ブック』に登場する曲をお届けする「聴く『ラップ・イヤー・ブック』」チャンネルを4月7日(金)から配信する。本書を読みながら聴くもよし、聴きながら読むもよし、ということでぜひお試しいただきたい。





シェイ・セラーノ『ラップ・イヤー・ブック イラスト図解 ヒップホップの歴史を変えたこの年この曲』
発売中
書籍(B5変形)/9784907583941/2,500円(税別)
DU BOOKS


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