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2019.07.26

SUM 41『Order In Decline』――デリック・ウェブリー インタビュー

どうやらSUM 41の最新作にして7枚目のアルバムとなった『Order In Decline』はスペシャルな作品になりそうだ。理由はふたつ、いや三つある。ひとつはオリジナルメンバーであるデイヴ・バクシュの帰還、ふたつめはデリック・ウェブリーによるセルフプロデュース作品であること、そしてバンド史上最高のコンディションにあると彼ら自身が語っていることだ。デリックが応じてくれたエクスクルーシヴなインタビューをここに。

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一昨年のSUMMER SONICに続いて今春来日し、記念すべき日本初開催となったラウドロックの祭典、ダウンロード・フェスティヴァルに出演したSUM 41。メタル・バンドがズラリと顔を揃えるフェスだが、ファンはご存じの通りSUM 41の面々は揃ってメタル・ファンであり、喜び勇んでの参戦だったに違いない。フロントマンのデリック・ウィブリーによると、実際にオーディエンスとしても楽しんだという。

「もちろんだよ!俺たちはスレイヤーとアンスラックス、ジューダス・プリーストが大好きで、彼らのライヴを全部観たし、バックステージで挨拶して、少しハングアウトすることもできた。久し振りに再会できて、お互いの近況を話し合えて良かったよ」

ちなみに、同フェスでSUM 41はクイーンの「ウィ・ウィル・ロック・ユー」のカヴァーを披露していたのだが、僕自身は、彼らのライヴでもそれを観たことがなかったので、映画に刺激されたのかと思ったら「もう8、9年くらい前からカヴァーしているよ」とのこと。いやはや、大変失礼いたしました。



Photo by Federica Burerelli

Photo by Federica Burerelli



前作『13 Voices』から約3年、SUM 41がニュー・アルバム『Order In Decline』をリリースする。実質的に現在の5人体制で初のアルバムとなる、注目の一作だ。

と、その話の前に、いささか個人的な興味ながら、昨年行われた『ダズ・ディス・ルック・インフェクテッド?』の15周年アニヴァーサリー・ツアーについて、デリックに聞いておきたかった。SUM 41のディスコグラフィの中でも、特に好きな1枚なので。

「それはありがとう!正直に言うと、あのアルバムは自分に特別な意味があるわけじゃないんだよね。気に入らない部分が数多くあって。でもファンには大切な意味があるみたいで、重要なのはそれだけという感じかな」

やはり、これまであちこちで見てきた発言と同様のコメントが返ってきた。どうやら、ツアーで多忙を極めている期間に短期間での制作を強いられ、締切も延ばせなかったため、本人たちの満足のいくサウンドには仕上げられなかったらしい。ならば、今後のリマスターやリレコーディングに大いに期待したい。

もうひとつ、これは気になっているロック・ファンが少なくないと思うので、前作収録の「WAR」で共演しているONE OK ROCKのTakaについても聞いてみた。

「そう、Takaは最高にいいヤツで、仲のいい友達なんだ。彼のことも彼の声もすごく好きだから、俺たちの曲でもゲストで歌ってくれるように頼んだ。いつかまた一緒に演奏できたらいいと思う。彼のバンドもすごく好きだしね。いつもどっちも忙しくて、あまり一緒にはいられないけど、お互いにとって常に会いたい相手なんだよ」



Photo by Federica Burerelli

Photo by Federica Burerelli



というわけで、『Order In Decline』である。“実質的に現在の5人体制で初”と先に述べたが、それは彼らが本作を、ギターのデイヴ・バクシュが復帰を果たす前に制作していたからで、今回は「5人いることを考えて曲作りができたから、自分の創造性にもプラスだった」とデリックも振り返っている。

オリジナルメンバーのスティーヴ・ジョックスの脱退はショックだったものの、一方で同じくオリジナルメンバーのデイヴが戻ってきてくれたことは手放しでうれしい。そう思ったファンは多いはず。そこで“いま話せる範囲でいいので”としたうえで、単刀直入にデイヴはどういう経緯で復帰したのか?と質問してみた。

すると、答えは輪をかけて単刀直入。「ファミリーだからだよ!」のひと言だった。なんかちょっと感動。

直近のアルバム3タイトルと同様に、今回のアルバムもデリックが自らプロデュースを手がけている。そしてその創作スタイルは、極めてシンプル。僕自身が行ったインタヴューも含めて、毎回同じような説明なので、この人は本当に感覚派のアーティスト/ソングライターなのだろう。いや、そもそも才能というのは、そういうものなのかもしれない。

「ギターを手に取って曲作りを始めたら、こういう結果になったというだけだよ。あまり音楽について“考える”ことはない。フィーリングで作っていくだけ。どこから浮かんだり現れたりするのかわからないけど、音楽を作る時は成り行きに任せているだけなんだ」

そして、フィーリングだけで、成り行き任せで作った楽曲が、ことごとく素晴らしいのだから、恐れ入るばかり。端麗なピアノの調べから号砲のようなギターが炸裂する、文句なしのオープナー「Turning Away」で幕開けすると、タイト&ソリッドなビートで疾走する「Out For Blood」、デス声シャウトが鮮烈な「The New Sensation」、ブルージーなギター・リフが光る「Heads Will Roll」、メタル魂を爆発させる「45(A Matter Of Time)」、それこそ『ダズ・ディス・ルック・インフェクテッド?』に収録されていてもおかしくない、ファストかつキャッチーな「The People Vs…」など、一発で心を撃ち抜くキラー・チューンが次々と待ち受けている。



Photo by Federica Burerelli

Photo by Pedro Granda



一転してのバラード「Never There」では、近作で顕著なメロウな美メロをじっくり聴かせるし、本編を締め括る「Catching Fire」は、ライヴでのシング・アロングが目に浮かんでくる感動的なアンセム。そう、5人組となってタフにビルドアップされたバンドサウンドで、このアルバムが伝えてくるのは、ほかでもない。デリックのソングライターとして異才ぶりなのだ。

「ありがとう!とても優しい言葉だね。アルバム制作というのは、どれも同じではなくて、時々難しかったり、時々その反対だったりする。このアルバムに関しては、すべてが速いペースでできたんだ。アルバムのほとんどの曲作りを3~4週間でやった。俺にとっては、かなり珍しいことなんだよ」

もはやSUM 41は、メロディック・パンク/ポップ・パンクという枠を超え、バンドとして次なるフェーズに突入したと言えるのかもしれない。

この原稿を書いている時点では対訳が届いていないので、残念ながら歌詞については触れることができない。デリック自身のコメントをお届けしつつ、リスナーそれぞれの解釈に委ねたいと思う。

「歌詞でインスピレーションを受けるのは、人生そのものだね。自分の世界で起こっていることとか、一般的にいまこの世界で起こっていることとかを、歌詞で取り上げたりしているんだ」

Photo by Federica Burerelli



では、秩序の衰退や低下を意味する『Order In Decline』というタイトルについてはどうか?

「前作『13 Voices』のツアーを回った国々は、それぞれ何らかの騒動や分裂や混乱があるように思えたんだ。どこへ行っても秩序が失われているみたいだった。それが頭の中にずっと残っていたんだ」

デビュー以来、SUM 41はまさに相思相愛と呼ぶべき深く親密な関係性を、日本のロックファンと築き上げてきた。それだけに、今回の来日には特別な想いがあったとデリックは語る。

「俺たちにとって、日本で演奏することはいつだって特別なんだ。最初から日本のオーディエンスと強い絆を感じていたし、いまも心から愛情と尊敬の念を抱いているよ」

さらに自ら、8年前の心境を明かしてくれたのだった。あの東日本大震災の直後、海外アーティストの来日公演が軒並みキャンセルされる中で来日を強行し、しかも被災した宮城県の仙台でライヴを行った時のことを。

「俺たちは心の底から日本が大好きなんだ。だからこそ、2011年に起きた地震のすぐ後に日本に行ったんだよ!日本で演奏するのが大好きだし、日本の文化を吸収することも大好きだからね」

このところフェスでの来日が続いているので、今度こそ単独ツアーでがっつりパフォーマンスしてもらいたいところだ。充実の力作『Order In Decline』を聴きながら、次の来日の報を楽しみに待つとしよう。

(おわり)

文/鈴木宏和



SUM 41『Order In Decline』
2019年7月20日(土)発売
EKRM-1396/2,300円(税別)
Hopeless Records/KICK ROCK INVASION




SUM 41 by 「SMART USEN」



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