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一昨年のSUMMER SONICに続いて今春来日し、記念すべき日本初開催となったラウドロックの祭典、ダウンロード・フェスティヴァルに出演したSUM 41。メタル・バンドがズラリと顔を揃えるフェスだが、ファンはご存じの通りSUM 41の面々は揃ってメタル・ファンであり、喜び勇んでの参戦だったに違いない。フロントマンのデリック・ウィブリーによると、実際にオーディエンスとしても楽しんだという。

「もちろんだよ!俺たちはスレイヤーとアンスラックス、ジューダス・プリーストが大好きで、彼らのライヴを全部観たし、バックステージで挨拶して、少しハングアウトすることもできた。久し振りに再会できて、お互いの近況を話し合えて良かったよ」

ちなみに、同フェスでSUM 41はクイーンの「ウィ・ウィル・ロック・ユー」のカヴァーを披露していたのだが、僕自身は、彼らのライヴでもそれを観たことがなかったので、映画に刺激されたのかと思ったら「もう8、9年くらい前からカヴァーしているよ」とのこと。いやはや、大変失礼いたしました。



Photo by Federica Burerelli

Photo by Federica Burerelli



前作『13 Voices』から約3年、SUM 41がニュー・アルバム『Order In Decline』をリリースする。実質的に現在の5人体制で初のアルバムとなる、注目の一作だ。

と、その話の前に、いささか個人的な興味ながら、昨年行われた『ダズ・ディス・ルック・インフェクテッド?』の15周年アニヴァーサリー・ツアーについて、デリックに聞いておきたかった。SUM 41のディスコグラフィの中でも、特に好きな1枚なので。

「それはありがとう!正直に言うと、あのアルバムは自分に特別な意味があるわけじゃないんだよね。気に入らない部分が数多くあって。でもファンには大切な意味があるみたいで、重要なのはそれだけという感じかな」

やはり、これまであちこちで見てきた発言と同様のコメントが返ってきた。どうやら、ツアーで多忙を極めている期間に短期間での制作を強いられ、締切も延ばせなかったため、本人たちの満足のいくサウンドには仕上げられなかったらしい。ならば、今後のリマスターやリレコーディングに大いに期待したい。

もうひとつ、これは気になっているロック・ファンが少なくないと思うので、前作収録の「WAR」で共演しているONE OK ROCKのTakaについても聞いてみた。

「そう、Takaは最高にいいヤツで、仲のいい友達なんだ。彼のことも彼の声もすごく好きだから、俺たちの曲でもゲストで歌ってくれるように頼んだ。いつかまた一緒に演奏できたらいいと思う。彼のバンドもすごく好きだしね。いつもどっちも忙しくて、あまり一緒にはいられないけど、お互いにとって常に会いたい相手なんだよ」



Photo by Federica Burerelli

Photo by Federica Burerelli



というわけで、『Order In Decline』である。“実質的に現在の5人体制で初”と先に述べたが、それは彼らが本作を、ギターのデイヴ・バクシュが復帰を果たす前に制作していたからで、今回は「5人いることを考えて曲作りができたから、自分の創造性にもプラスだった」とデリックも振り返っている。

オリジナルメンバーのスティーヴ・ジョックスの脱退はショックだったものの、一方で同じくオリジナルメンバーのデイヴが戻ってきてくれたことは手放しでうれしい。そう思ったファンは多いはず。そこで“いま話せる範囲でいいので”としたうえで、単刀直入にデイヴはどういう経緯で復帰したのか?と質問してみた。

すると、答えは輪をかけて単刀直入。「ファミリーだからだよ!」のひと言だった。なんかちょっと感動。

直近のアルバム3タイトルと同様に、今回のアルバムもデリックが自らプロデュースを手がけている。そしてその創作スタイルは、極めてシンプル。僕自身が行ったインタヴューも含めて、毎回同じような説明なので、この人は本当に感覚派のアーティスト/ソングライターなのだろう。いや、そもそも才能というのは、そういうものなのかもしれない。

「ギターを手に取って曲作りを始めたら、こういう結果になったというだけだよ。あまり音楽について“考える”ことはない。フィーリングで作っていくだけ。どこから浮かんだり現れたりするのかわからないけど、音楽を作る時は成り行きに任せているだけなんだ」

そして、フィーリングだけで、成り行き任せで作った楽曲が、ことごとく素晴らしいのだから、恐れ入るばかり。端麗なピアノの調べから号砲のようなギターが炸裂する、文句なしのオープナー「Turning Away」で幕開けすると、タイト&ソリッドなビートで疾走する「Out For Blood」、デス声シャウトが鮮烈な「The New Sensation」、ブルージーなギター・リフが光る「Heads Will Roll」、メタル魂を爆発させる「45(A Matter Of Time)」、それこそ『ダズ・ディス・ルック・インフェクテッド?』に収録されていてもおかしくない、ファストかつキャッチーな「The People Vs…」など、一発で心を撃ち抜くキラー・チューンが次々と待ち受けている。



Photo by Federica Burerelli

Photo by Pedro Granda



一転してのバラード「Never There」では、近作で顕著なメロウな美メロをじっくり聴かせるし、本編を締め括る「Catching Fire」は、ライヴでのシング・アロングが目に浮かんでくる感動的なアンセム。そう、5人組となってタフにビルドアップされたバンドサウンドで、このアルバムが伝えてくるのは、ほかでもない。デリックのソングライターとして異才ぶりなのだ。

「ありがとう!とても優しい言葉だね。アルバム制作というのは、どれも同じではなくて、時々難しかったり、時々その反対だったりする。このアルバムに関しては、すべてが速いペースでできたんだ。アルバムのほとんどの曲作りを3~4週間でやった。俺にとっては、かなり珍しいことなんだよ」

もはやSUM 41は、メロディック・パンク/ポップ・パンクという枠を超え、バンドとして次なるフェーズに突入したと言えるのかもしれない。

この原稿を書いている時点では対訳が届いていないので、残念ながら歌詞については触れることができない。デリック自身のコメントをお届けしつつ、リスナーそれぞれの解釈に委ねたいと思う。

「歌詞でインスピレーションを受けるのは、人生そのものだね。自分の世界で起こっていることとか、一般的にいまこの世界で起こっていることとかを、歌詞で取り上げたりしているんだ」

Photo by Federica Burerelli



では、秩序の衰退や低下を意味する『Order In Decline』というタイトルについてはどうか?

「前作『13 Voices』のツアーを回った国々は、それぞれ何らかの騒動や分裂や混乱があるように思えたんだ。どこへ行っても秩序が失われているみたいだった。それが頭の中にずっと残っていたんだ」

デビュー以来、SUM 41はまさに相思相愛と呼ぶべき深く親密な関係性を、日本のロックファンと築き上げてきた。それだけに、今回の来日には特別な想いがあったとデリックは語る。

「俺たちにとって、日本で演奏することはいつだって特別なんだ。最初から日本のオーディエンスと強い絆を感じていたし、いまも心から愛情と尊敬の念を抱いているよ」

さらに自ら、8年前の心境を明かしてくれたのだった。あの東日本大震災の直後、海外アーティストの来日公演が軒並みキャンセルされる中で来日を強行し、しかも被災した宮城県の仙台でライヴを行った時のことを。

「俺たちは心の底から日本が大好きなんだ。だからこそ、2011年に起きた地震のすぐ後に日本に行ったんだよ!日本で演奏するのが大好きだし、日本の文化を吸収することも大好きだからね」

このところフェスでの来日が続いているので、今度こそ単独ツアーでがっつりパフォーマンスしてもらいたいところだ。充実の力作『Order In Decline』を聴きながら、次の来日の報を楽しみに待つとしよう。

(おわり)

文/鈴木宏和



SUM 41『Order In Decline』
2019年7月20日(土)発売
EKRM-1396/2,300円(税別)
Hopeless Records/KICK ROCK INVASION




SUM 41 by 「SMART USEN」



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