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2018.02.16

家入レオ『TIME』インタビュー——“もう始まっていた”出会いから繋がってできあがったアルバム

「ずっと、ふたりで」の杉山勝彦をはじめ、須藤 優、本間昭光といった作家、アーティストたちとの出会いと繋がりによって実現したという家入レオの5thアルバム『TIME』。家入レオ自身が、ただ“いい音楽をもっと作りたいと突き詰めた結果”というアルバムが完成するまでのストーリーを。

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——1年7ヵ月ぶりのニューアルバム『TIME』ですが、制作はいつ頃から行われてたんですか?

「主に2017年からではあったんですけど、昨年はベストアルバム『5th Anniversary Best』やシングル「ずっと、ふたりで」をリリースしたり、ドラマ「新宿セブン」があったりしたので、このアルバムにかかり切りだったわけでもなくて。しかも、楽曲の制作自体は2016年リリースの『WE』の制作が終わった直後から始めていました。『WE』で蒔いた種をもっともっと育てていこうっていうのが、今回の『TIME』で花が咲いた感じです」

——本作には、先行シングル「ずっと、ふたりで」をはじめ、他の方からの提供曲が多く収録されていて、家入レオファンのリスナーも驚いたと思うのですが?

「「Hello To The World」からの流れで、『WE』を多保孝一さんといっしょに制作したことで、いろんなミュージシャンの方と出会ったんです。それまでの私の音楽って、オケも打ち込みがほとんどだったんですけど、そういういろんな出会いの中で、この人たちと音を作りたい!と思ったのが『TIME』に繋がったんですよね。なので、意図的に提供曲を歌ったというより、いい音楽をもっと作りたいと思って突き詰めた結果なんです」

——制作の進め方も今までとは変わりましたか?

「そうですね。以前はリリースが決まったら、持ち札の中からバランスを見つつ足りない曲を新たに作るというやり方だったんですけど、今回はその持ち札はひとまず置いておくことにして。まずは1曲1曲のコンセプトを明確にスケッチして、それに合ったミュージシャンやアレンジャーの方にお願いしたり、手元にあった曲も、一から作り直してみたり。とにかく1曲1曲の完成度を高めていくことにこだわりました」

——どの作家さん、アーティストさんにしようというリクエストは家入さんが?

「改めてこの人にっていうのではなく、そのときには“もう始まっていた”という方が多いんです。今回「アフターダーク」と「祈りのメロディ」の2曲を提供してくださった須藤 優さんは、『WE』のときに「恍惚」でメロディを作ってくださって、ベースも弾いていただいたんですけど、そのときから“この人と面白いことをしたいな”と思っていて。また、杉山勝彦さんは、やっぱり「ずっと、ふたりで」での威力がすごくて、アルバムもいっしょにやりたいと思ったし、佐々木望さんは「祈りのメロディ」で須藤さんといっしょにアレンジをしてくださって、そこでいろいろ話しているうちに実はSoulifeというユニットをやっていると知り、作っている曲を聴かせてもらった中から「春風」を歌わせていただくことになったりして。そういう出会いから繋がってできたアルバムだし、今までいっしょにやりたいと思っていた人との制作が実現できた1枚になりました」

——提供曲の中には、家入さんが意外に思うようなものもあったのでは?

「んー……でも、今回はわりとみんなでっていう気持ちが強いんですよ。私のほうから、こういう曲をやりたい、自分のこういう部分を見せたいっていう発信をしたので。それを受け止めるほうも、ある程度“家入レオ情報”というのが入っている状態だったので、自分と真逆なものが来ることはなくて、“やったね、私たち!”みたいな面白さがすごくありました」

——なるほど。でも、今回の収録曲の中には、これまでの家入さんにはないテイストの楽曲もあるので、もしかしたら家入さんが伝えた“自分のこういう部分を見せたい”に驚く作家さんがいたかもしれませんね。

「あ、それはあるかもしれないですね。とくに佐々木さんは、提供した中から「春風」が選ばれるとは思ってなかったみたいで。“真逆を選んできましたね”って言われました。この曲を書いたSoulifeのお二人は欅坂46さんにも楽曲を提供していて、そのときから私の中で気になってる存在だったんです。今の邦楽の面白いところって、アイドル文化がものすごく発達してるから、作曲家さんたちもありとあらゆるジャンルを生み出すことに長けてるというか。「春風」も、最初に<メモリー>とか<シルエット>とかが入った歌詞を見たとき、いいのか悪いのかはまだわからないけど、とにかく耳に残る歌詞だなと思って。そこにキャッチーさがあるんだろうなあと思って歌わせていただくことにしたんです。それは乃木坂46さんにも楽曲を提供している杉山さんも同じで。杉山さんが書いてくださった「ありきたりですが」は、歌詞にある<君とのごはんが恋しくて>というフレーズに結構ひっくり返りそうになったりして(笑)」

——この歌詞を私が歌うのか!って?(笑)

「そう(笑)。実は内輪でも“これは……どうだろう?”って話になったんですよ。でも、うちの小さなチームの中でもそういう物議が持ち上がるってことが、杉山さんのすごいところだと思うんです。なので、絶対このまま歌うって言って、レコーディングさせていただきました。そういう意味では意外性のある楽曲も多くて、すごく楽しかったですね。私、歌うこと好きなんだなあって改めて思いました」

——今のお話でなるほどと思ったのが、今回のアルバムって、聴いていると歌詞カードを見たくなるんですよ。迂闊に聴き流せないというか……

「わあ、うれしい! そこ、すごい意識して作っていたんですよ。今ってやっぱり、新しいものと出会う場が多いようで少ないじゃないですか。街鳴りってよく言いますけど、街で音楽が流れてると言っても——実際、私もそうですけど——みんなイヤホンで自分のプレイリストを聴いてたりしますよね。ネットでも興味がなければ検索もしないし。なので、好きなものはとことん突き詰められるんだけど、本当の意味で真新しいものは入ってきづらいから、発信する側としてチャンスはどこにあるんだろう?と思うと、コンビニやスーパーかなって。レジでお金を払うときはほとんどの人がイヤホンを外したり、音楽を止めたりするから、そこで家入レオの曲が流れてるっていうのは絶対に狙い目だな、と。そこで誰かの耳に留まるようにっていうのは、結構意識的にやってたかもしれません」

——そういうマーケティング的なことって、実はずっと昔から考えていたんですか?

「昨年ドラマに出させていただいて、その影響が大きいと思います。それこそ今までは発信者でしかなかったから、とにかくがむしゃらに伝えるってことしか考えてなくて。で、たぶんそこに一瞬の切なさとか青春っぽさがあって、だからこそ応援してもらえてたのかなって思うんですけど。それがドラマをやったとき、役として台本を読んだり、その子の気持ちを考えたりすることで、自分の中に受信者と発信者、両方の視点ができたというか。本当の意味で客観的に物事を見られるようになってきた気がします」

——ドラマ出演の経験は大きかった?

「大きかったですね。この1月にはリーディング・オーケストラコンサートにも参加させていただきましたけど、私自身はやっぱり表現することがすごく好きなんです。だから、音楽とか芝居とか限定しないほうがきっといいんだろうなって。結果的に家入レオが大きくなっていけばいいと思うので、もちろんいろんな意見はあると思うんですけど、自分がやりたいと思ったこと、届けたいと思ったことをやっていくのが一番かなと思ってます」

——そのひとつひとつの経験を自分の血肉にして、ちゃんと音楽に還元されているのが家入さんの素晴らしいところですね。

「ありがとうございます」

——そういえば、家入さんのブログに「自分のメロディと歌詞じゃないときこそ、自分らしさが出る」と書かれていたのが印象的でした。

「自分で作ってる曲だと、自分の体験や自分の中から絞り出しているものなので、歌うときも本能的。感情任せというか、歌うことで消化しようって感じなんですけど、提供曲の場合は、私からのリクエストはあるにせよ自分のDNAのものじゃないので、歌でどうやって爪痕を残すかっていうのをかなり考えて歌うんです。そうやって出来上がったものに、結果、すごく自分らしさが出てるというか」

——お芝居に近いものがあるんでしょうか。

「単純に楽しいんですよね、提供曲を歌うのって。シンガー・ソングライターとしてだけやっていると、自分に伝えたいことがあるから、音楽を楽しむっていうよりも、想いを伝えるっていうほうが大きくて。私、歌謡曲がすごい好きなんですけど、山口百恵さんや中森明菜さんの曲をなんでカバーするかと言うと、自分じゃない人になれるからであって。そういう意味では、提供曲の場合、自分なんだけど自分じゃない表現も使える。自分の身体を通して違う人になるっていうのは、すごくハッピーな経験でしたね」

——一方、「恋のはじまり」は、家入さんが、親友の大原櫻子さん、藤原さくらさんを想って書いた曲ということで。本作にはソロボーカル&リアレンジ・バージョンが収録されています。

「もともとは、この3人のライブも決まったし、大好きな二人を思い浮かべながら、他の作家さんには書けない曲を書こうってところから始まった曲で。さくらと櫻子のファンは、2人が何を歌ったら喜ぶだろう?って考えた結果、やっぱりピンク色のイメージの曲を作りたいなと思ったんです。だから、最初から家入レオとして歌うとしたら、こういう曲は浮かばないし、正直今回のアルバムにソロバージョンを入れようと提案されたときも、結構迷ったんです。あの2人ありきの曲だったし、自分が歌って曲の良さが出るかな?とも思ったんですけど……。でも、“レオちゃんバージョンも聴いてみたい”というファンの方たちの後押しもあって、ちょっと大人っぽくリアレンジしてみました。でも本当、この曲がきっかけで、今は楽曲提供にもめちゃくちゃ興味があるんですよ」

——そんな予感がしました(笑)。

「それこそ、アイドルの子たちの曲とか書いてみたい。キャピキャピした女の子にめっちゃダークな歌を歌ってもらったら面白いなって思うし、その逆も然りで。楽曲提供、本当やってみたいんですよね」

——そして提供曲があるからこそやっぱり家入さんの自作曲が光っているように感じました。個人的には「TOKYO」とか「ファンタジー」が好きです。

「うれしい!ありがとうございます。どちらも自分の体験や、身近な出来事から想像を広げて書いた曲なんです」

——「TOKYO」のほうは<絶対に許さないわ>という冒頭の歌詞からパンチが効いてますが、どういうところから生まれた曲なんですか?

「私はデビュー当時、まだ10代だったということもあって、その時期、なにかあっても自分が責められるんじゃなくて、周りの人たちが責められるっていう状況だったんですね。それがちょっとしんどいと思うこともあって、じゃあ、どうやってこの時期をやり過ごそうかなって思ったときに編み出した方法が、俯瞰的に自分の環境を見るってことだったんです。なんていうか、“ただじゃ起きないわ!”じゃないですけど(笑)、そういう反骨精神みたいな思想が、今も曲を作るときにすごく役立ってて。たとえば、人ごみの中で人にぶつかられて、ごめんも言われなかった……みたいな状況でも、そこから妄想が膨らんで1曲作れたり。「TOKYO」も、日常で起きたちょっとしたアクシデントから生まれました。東京で生きる1人の人間としても、アーティストとしても、女性としても、なんかもうやってられない!って思うけど、まだこの街からは離れられないっていう。ただ、それを自分というところに留めるんじゃなくて、ちゃんとみんなに届けたいっていうのが今回のアルバムの肝で。なので、「TOKYO」の後半では、みんなもいっしょに踊ってよって感じにしたくて、ちょっとコメディチックにラララを付け足したりしました」

——ライブ映えしそうな楽曲ですよね。5月からは全国ツアー「家入レオ 6th Live TOUR 2018 〜TIME〜」がスタートしますが、どんなステージになりそうですか?

「今年のツアーはメンバーを一新するんです。玉田豊夢さんとか名越由貴夫さんといったメンバーと回るので、めちゃくちゃキレのいいライブになると思います。もちろん私自身も、今まで以上に歌っていうところに力を注いで。やっぱり、その日歌えるものっていうのがライブの醍醐味だと思うので、一人一人の目を見ながら、ちゃんと1対1の空間になれるように。“私の部屋に来てくれてありがとう”っていうぐらいの感覚で、全国を回れたらいいなと思ってます」

(おわり)

取材・文/片貝久美子







家入レオ『TIME』
2018年2月21日(水)発売
初回限定盤A(CD+DVD)/VIZL-1311/4,900円(税別)
Colourful Records
家入レオ『TIME』
2018年2月21日(水)発売
初回限定盤B(CD+DVD)/VIZL-1312/3,500円(税別)
Colourful Records
家入レオ『TIME』
2018年2月21日(水)発売
通常盤(CD)/VICL-64927/3,000円(税別)
Colourful Records


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