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2017.10.19

BRADIOインタビュー——メジャーデビューシングル「LA PA PARADISE」に見る意外なバックボーン

インディーズでありながら中野サンプラザを即日ソールドする人気と実力を備えたBRADIOが、10月11日にシングル「LA PA PARADISE」でメジャーデビューを果たした。すでにスタイルを確立している中でのメジャーデビューについて、そしてファンク/ソウルに固執しない意外なバックボーンについても聞いてみた。

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「野村義男のおなか(ま)いっぱいラジオ」11月6日(月)〜11月12日(日)のゲストはBRADIOの大山総一と酒井亮輔



——BRADIOみたいに音楽性もスタイルも決まってるバンドのメジャー移籍って、どういうところに意義を感じたからなんですか?

真行寺貴秋(Vo)「本当に音楽がすごい好きで、音楽っていうツールを使って誰かのためになれたらいいなということはずっと思ってて。僕らもう結成7年目なんですけど、メジャーっていうのはやっぱり憧れもありましたし、目指してた部分も当然ありました。ただ、ファンクバンドをやろうと思ってやってるバンドではないので、意義を考えるとか、“日本にファンクを広める”というのではないんですよ。やっぱりお茶の間にも行きたいですし、そこで何かを共有したい、共感したいって気持ちはすごくあって、それが僕らはたまたま音楽であって。別にお惣菜屋さんが“これを食べてみんなが笑顔になってくれたら”っていうのと同じ感覚なのかな?というふうに思ってます。“とにかく人を幸せにしたい”っていう気持ちから始まりましたけど、今は“人と幸せになりたい”っていう感覚はあるかもしれません」

——インディーズでのラストアルバム『FREEDOM』で内面的に踏み込んだアプローチをして、音楽性の幅が広がったように思いますが、今回はメジャーデビューということで、最初に切る手札をどうするか悩みませんでしたか?

大山総一(Gt)「今までもそうですけど、そのときどきの自分たちの見てるものとか、知り合った人が作品に大きく反映される傾向があって。今回もメジャー1stということで、BRADIOというバンドを知ってもらえる機会が増えていくだろうという状況で、BRADIOらしいものをまずは出したいよねっていうのはあったんです。いろんなことやってきてるから、“BRADIOらしさってなんだ?”っていうところで、心の中から動くようなビートとサウンド、気持ちよく乗っかれるような音作りというのはだいぶ意識したとは思いますね」

——「LA PA PARADISE」のイントロが流れた瞬間、すごく洗練されたなと思ったんですよ。

大山「ありがとうございます」

——聴いた後で、プロデューサーに藤井丈司さんが入ってらっしゃるのがわかって、腑に落ちたんですが、藤井さんとお仕事されることになった経緯は?

大山「今回やるにあたって、“BRADIOに合うんじゃないか?”ということでワーナーさんから紹介してもらって。藤井さんの経歴は知っていたんですけど、制作のタイミングで一度お会いして話をさせていただいて。そうしたらすごいフィーリングが合うというか、結構僕ら初対面で人見知りするタイプなんですけど(笑)」

——今してますよね?ちょっとここらへんに壁が見えるもん(笑)。

一同「ははは!」

大山「で、話す時間が長かったんですが、こういうコードがいい、こういうフレーズがいいという話よりは、“貴秋のこういうスタイルがかっこいいんだよね”とか、“総一のギターのそういうとこいいから、もうちょいやっちゃいなよ!”みたいな、人となりをもっと出していく話のボリュームが多かった印象がありますね」

——なるほど。今回のために楽曲自体は何曲か用意したんですか?

真行寺「かなりあったよね?」

大山「いつもネタ作りみたいな感じでストックしていて、ワンコーラスの曲のイメージみたいな素材をいつも作りためているんですけど、それはかなり作っていて、その中からチョイスしていった感じですかね」

——今回、タイトル曲の「LA PA PARADISE」がこういう曲調で、カップリングは「Baddest」なんで久保田利伸さんインスパイア感がすごいんですけど。

真行寺「ありがとうございます(笑)。でも実は全然そんなつもりもなくて、歌詞も曲が決まってからつけてく感じだったので、こうやって取材をしていく中でみなさんに“久保田利伸インスパイアだね”って言われて、“あ、そうだな!”と、後付けで乗っかってこうかなと(笑)」

酒井亮輔(Ba)「でもほんとに久保田利伸さん大好きですし、そう言っていただけるのはすごくうれしいですね」

大山「この制作に入るちょっと前に、みんなでアース・ウインド&ファイアーのライブを見にい行って。楽曲的なアプローチも参考にしたんですけど、どっちかっていうとライブの空気感というか、お客さんとの距離感とかパフォーマンスのエンターテインメント性とかを再現したいって思いは強くあって。フレーズをアースっぽくしたいというよりは、あの空気を出せる音楽ってなんだ?みたいな部分をかなり考えてたなと思いますね」

——日本って、仕事帰りにみんなでアースのライブ行こう!みたいにならないじゃないですか?海外だとみんなでライブに行ったり、ちょっとしたパーティーを開いたりもするのかなと想像するんですけど。

大山「そういうのいいですよね。いま、このシングルを渋谷の街で流してもらってて、自分らの曲なんですけど、“マジでこういう音楽が街で鳴ってるのすげえいいじゃん!”と思って。僕らのことを知らないでなんとなく聴いてる方がたくさんいらっしゃると思うんですけど、こういうサウンドが街の景色の中に流れてるっていうのも素敵だし、そういうことをやっていきたいなと思いました」

真行寺「でもみんなきっと同じというか、そんな気持ちがあると思ってて。ミュージカルでひとりが歌い出したら、最終的にみんな集まってきて踊ってハッピーになれるとか、きっと嫌いな人いないと思うし、やりたいなと思ってるけどなかなかそういうシチュエーションとかきっかけがないっていう人もたくさんいるんじゃないかな。そういうきっかけのひとつになれたらなって」

——真行寺さんのボーカルがほぼファルセットなのも洗練されたと感じる一因なのかなと。

真行寺「今までは、個性を出すってすごくマニアックなことなのかな?って躊躇う気持ちがありまして。でも今回は藤井さんの存在が僕の中ですごく大きくて、彼に背中を押してもらったと思いますね。ファルセットって別に突出した唱法ではなくて、僕の中では普通なんですけど、ファルセットでサビメロに行くとマニアックだとか、現実的に言うとカラオケで歌いづらいという経緯もありつつ、“やっていいのかな?”という感じがあったんです。でも今回は藤井さんからむしろ“もっと増やせ”って言っていただけて、やってみたら楽曲にきらびやかさが増したのかなという気もしますし、新しいBRADIOも見せられたかなと思います」

——日本でファンクバンドってフォーマットは、得てして面白いジャンルに見られがちじゃないですか?

大山「まあ、いろんな見られ方してもらうのは悪くないなとは思っていて。でも最近、“こう見られたい”って思いが強すぎると人としても集団としてもなんのこっちゃわからん風になっちゃうんじゃないかなと。“こうありたい”という気持ちがあった上で、“どうとでも見てください”というスタンスでいたいなと思うようになってきましたね。昔はやっぱり“俺たちはこう見られたいんだ!”という気持ちがすごく強くって、誰もそんなことに興味ないっていうことに気づけなかったんですね。でも今はBRADIOとしてあるべき姿が確立してきて、さらにそれを伸ばして行こうとしているところです」

酒井「こだわりのラーメン屋さんでちょっとの時間しかやってない店よりは、24時間365日やってる店というか(笑)。僕自身、そういうバンドでありたいなと思いますし。それに誰もがポジティブなわけじゃないですし、ネガティブな感情も持っていて、僕らの音楽が届く手前で届かなかったりする人も多いと思うんです。でもそういう人にもいつか届いてほしいし、聴けるときに聴いてほしいってスタンスでいれば、いつかその人にも届くんじゃないかと思うので、やり続けるというか、止まらずにやってたらいいなと思います」

——ちょっと脱線しますけど、ちょうどアルバムが出たばっかりなので、あえてお聞きします。Hi-STANDARDあたりの音楽も通過してきてますか?BRADIOは結構ラウドやパンク系のバンドとも対バンしてますよね。

酒井「大好きです。まさに世代。ハイスタが好きだった海外の音楽に10代の頃、ハマってたりしましたし、それこそラウドミュージックも大好きですし。ハイスタのニューアルバムってなるとそりゃ盛り上がるよねっていう(笑)」

——基本的にはBRADIOもメンタル的には同じなのかもしれないですね。

酒井「そうかもしれないですね」

大山「表現の仕方が違うだけで同じかもしれない」

——BRADIOって、トレンドとかブームとは違うところで進んできたバンドだと思いますが、近しいところでいうと、ブルーノ・マーズが日本でもアリーナ公演をソールドするような潮流もあって。追い風が吹いてる実感はありますか?

酒井「逆にもともとは日本もそうだったと思うんですよね。その、バブルの時代にディスコとかがあって。アースを見に行った時も思いましたけど、おそらく40代、50代の人たちがすごい体を揺らしてて。そういうのを見てると、日本って流行に流されやすいっていうか、トレンドに染まっちゃう気はしてるんですけど。だからあんまりそっちに寄りすぎると、服と同じで流行り過ぎて着れなくなっちゃうじゃないかと思ったりもして。逆に、アースなんかは流されないというか、それでいて曲も名前もちゃんと残ってるし。BRADIOもそういうスピリットでやっていきたいなというのはあります」

大山「今のトレンドがこうだからとか、ファンクのカルチャーがリバイバルしてきてるからという感覚はあんまりフィットしないというか……どっちかというと好きな音楽をずっと聴いてきただけで、普通の一般家庭で育って、ヒットチャートの音楽を聴く両親がいて、兄弟が聴いてる音楽をいっぱい聴いたり、そこから洋楽聴き始めたりしてブレンドされた結果が今これなのかなって感じがあるんですよ」

田邊有希(Dr)「ファンク、ソウルって僕らの強みでもあるわけですが、だからと言ってそこに固執しないってところが、やっぱりこれからすごい大事になってくるのかなと思ってます。単純にいい音楽はいい。もちろんハイスタもいいと思いますし、演歌もいいと思いますし、そういう対応力というか柔らかい頭というか。やりたいことを素直にやるっていうのがこれからも僕たちのストロングポイントになって行くんじゃないかと思ってます」

——キャラクターも立ってるし。ライブでの真行寺さんの熱く煽る感じだったり、それに対する大山さんのクールな感じとか。

一同「ははは!」

真行寺「さっき言われた、ちょっとコミカルに見えるっていうのは僕のイメージもあると思うんですよ。アフロヘアって本場の人だとかっこいいんですけど、たぶん日本では結構笑われたり、“何あれ?”ってなるじゃないですか。そういう意味ではとっつきやすかったり、突っ込みたくなるのかなとか、そういう部分はちょっと感じてますね」

——でも真行寺さんの場合、それはある種の武装なんじゃないですか?

真行寺「かも知んないです。ふだんはあんまりファンキーしてないタイプのインドア人間なんで(笑)」

——ファンキーな人がインドアでもいいじゃないですか(笑)。

真行寺「ですよね。まあ、ふつうの人間としてやってるんで。ふだんは結構暗い部分もネガティヴな部分もありますけど、ライブはみんなの先頭に立って引っ張っていきたいなという気持ちはあるから。そう、だから武装ですよね。ステージにある種のソウルがあって、それを身に纏って……みたいな感じだと思います」

——ファンク/ソウル人脈でいうと、トータス松本さんもある種そういうところあるじゃないですか?自分の暗さを知ってるからこそ熱く表現するというか……

真行寺「僕もそういう気持ちはあったりしますね。だから歌詞を書いてるんだ!だから歌ってるんだ!だからライブやってるんだ!って」

——だからこそ、真行寺さんがパーソナルな歌詞を書くと“ああ、なるほど!”と思うんです。

真行寺「エンタメなんですけど、エンタメすぎるとBRADIOじゃないのかなと。人間くさい部分が人と人を繋いで行くのかなという感覚があるので。音楽はそうありたいなっていう風に思ってますけど」

——ファンキーな音楽の中にも中島みゆきさん成分があったり?

真行寺「それいいですね(笑)。やっぱり、楽しいとかファンキーの中に、こうちょっと湿っぽい部分は自分たちでも欲しいとは思ってるし、それがBRADIOらしさなのかもしれないです」

(おわり)

取材・文/石角友香



BRADIO「LA PA PARADISE」
2017年10月11日(水)発売
初回限定盤(CD+DVD)/WPZL-31360/31361/2,200円(税別)
ワーナーミュージック
BRADIO「LA PA PARADISE」
2017年10月11日(水)発売
通常盤(CD)/WPCL-12713/1,000円(税別)
ワーナーミュージック




SOUND PLANET「C-43 MUSIC&TALK WAGON 〜音バナ〜」野村義男のおなか(ま)いっぱいラジオ、11月6日(月)〜11月12日(日)のゲストはBRADIOの大山総一と酒井亮輔!