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「今、聴クベキ!日本語ラップ」 by SMART USEN



――この『The Definition of This Word』をダブルネームでリリースしようと思ったきっかけは?

BES「Manhattan Recordsから『The Kiss Of Life』をアナログカットするという企画をいただいて。その中に16FLIPの名前が入っていたので、ISSUGI(16FLIP)に速攻電話してOKもらって……」

16FLIP「はい。そうですね」

――以前からふたりの絡みはあったと思いますが、制作はスムーズでしたか?

16FLIP「基本的にもらったアカペラをビートに乗せるって作業をしていたんですけど、やりやすかったし、なにしろやっていて楽しかったですね」

BES「俺もビートを待っているのが楽しみでした」

――本作に込めたアティチュード、あるいは伝えたいことは?

BES「『The Kiss Of Life』とは、全く違ったものになって、面白いし、かっこいいものになったかなと思うので、そこですかね」

16FLIP「俺は、もちろんBESのフロウを聴いて欲しいですね。リリックも。それを活かそうと思って作っていましたので」

――特に思い入れがある曲は?

16FLIP「「16FLIP VS BES 14」(「I Wanna Shining (Track by I-DeA)」)ですね。14曲目に持ってきているんですけど、『The Kiss Of Life』だと1曲目に入っていて。これはビートも気に入っているし、BESのラップともテンションが合っててハマったって思ってます」

BES「俺はそうだな……「16FLIP VS BES 2 feat. MEGA-G Cut by DJ SHOE」(「King City feat. MEGA-G (Track by Faceoff)」)が好きですね」

16FLIP「単純な話なんですけど、BESのラップってヤバいんだぞ!ってとこですかね。そこがいちばん伝えたいことです」

BES「ありがとうございます(笑)」

16FLIP「俺がリミックスやるってそういうことなんですよね。しかも、今回はアルバム1枚だったんで、自分が見たBESの良い面を引き出したいって思ってました」

――どんな人に聴いて欲しいですか?

16FLIP「HIP HOPが好きな人に聴いて欲しいですね」

BES「俺もそうです」

――海外シーンで流行っているようなサウンドを取り入れていない、骨太のHIP HOPという印象でしたが、これは意図していたんですか?

16FLIP「サウンドはいつもどおりですね。自分の中で変化はしていますけど、俺はこうだから!って感じ」

――楽曲制作の手順は?

16FLIP「BESのアカペラがあったんで。自分がビートを作っていく中で、合いそうなビートとアカペラを思い浮かべで合わせていく感じですね。昔からやっていることの延長というか、本当に昔の話になっちゃいますけど、例えば12インチ買ったらアカペラが入ってるじゃないですか?それをBPM合わせて違うビートに乗っけるという作業ですね。それが自分のビートっていう」

――使用機材はパッドですか?

16FLIP「そうですね。基本的にMPC3000、他にABLETON、Maschineも使っています。でもいっしょには使ってないですね」

――おふたりとも、リリックを書くときは携帯派ですか?ノート派ですか?

BES「ノート派ですね。抑揚をつけたりとか、語尾を上げたい所とか、携帯だとわかんなくない?(笑)」

16FLIP「俺もいっしょです(笑)」

BES「フロウを作りたいとき、ここで切って一拍空けたりとか、最後のスネアから入るって、ちゃんと書いておかないと。携帯にメモっても平坦な落とし方になっちゃうんですよね。その場でフロウを変えて覚えられる人ならいいんでしょうけど、俺はそんな上手くないんで」

16FLIP「譜面みたいなものですよね。あと俺は自分の字じゃないとなんかRECするときに調子上がんないすね、携帯だと」

BES「あと字が小さすぎて見えない(笑)」

――おふたりのラップスキルだと、RECは一発録りですか?

BES「さすがに一発では決まらなくて(笑)。調子いいときで2、3発ですね」

16FLIP「調子よければオレもそんな感じすけど、全然何回もやりますよ」

――全編に渡ってパンチラインが満載でしたが、韻に対するこだわりは?

BES「前はそんなに踏まなかったですね。3つ踏んで、最後だけ外すとかいろんなパターンをやりましたけど……思い出したら気持ち悪くなってくる(笑)。その試行錯誤があって、いまの乗せ方、スタイルがあるっていうか」

――リリック面はどうでしょう?

BES「昔は比喩のバリエーションがもっと豊富だったんですけどね。いまは、同じ単語は使いますけど、同じ文章を使わないっていうのはなるべく気にしてますね。聴き心地よりも、先に言いたいことを決めて、後でフロウをつけるっていうか、つかなかったら変えちゃう。だいたい1小節か2小節で言い切るようにしてます」

――ビートメイクで大切なことは?

16FLIP「俺は作りたいって気持ちですね。ビートを作りたいっていう単純な動機、それだけです。それが自分の好きな事だから。だから気分がノってないと作れないというか。ぶっちゃけこいつのために作ろうと思えたとき、いちばんいいのが出来ますね。自分的にですけど」

――ここからは『The Definition of This Word』の収録曲についてお聞きします。まず1曲目の「16FLIP VS BES 1」。

16FLIP「もともとこれは、前から作っていたビートで、いつか使いたいなって思ってて。BESのラップを乗せたら結構しっくり来たんで、作品に入れました」

――「5年の道草でもいまだこのハイレベル」、「こちとら職人かたぎラップにかけては苦しくなる程詰める母国語とスラング」など、ラッパー=BES、健在といったリリックです。

BES「あれは原点回帰の曲で、HIP HOPを始めたときにああいうトラックが好きで、まあ、5年道草食ってもまだこんくらいは余裕でできるぞ!って。こんだけ長くやってきて自信を失くしたときもありますけど、やっぱりこだわりがないと生き残れないかなって。“いま、楽か?”って言われたらそんな楽な生活はしてないし、職人気質ってところは忘れたくないです」

――2曲目の「16FLIP VS BES 2 feat. MEGA-G Cut by DJ SHOE」は、HIP HOP好きが反応しそうなトラックですね。

16FLIP「ごちゃごちゃしてないというか。自分的にはこれでいいだろ!って感じです。ソウルフルなビートがBESのラップには似合うなって思ってて、この曲はわりとその典型というか。以前、友達がBESのライブを見た後にBESはソウルを感じる”って言われて、そんときに、俺もそうだなって思って」

――全体的にポジティブなメッセージが伝わってきましたが?

BES「最近、自分の中でポジティブなことを言っていくのに限るなって。あんまりネガティブなことは言わないですね。ONE-LAWにも“ディスらなくなりましたねって”って言われて」

――3曲目「16FLIP VS BES 3 feat. SHAKU, 仙人掌 Cut by 16FLIP」は、ある種の疾走感が印象的でした。

16FLIP「ダンスホールとかレゲエのビートですね。BESにはそういうビートが合うっていうのがわかってたし、オレもだけど昔から両方好きなんで」

BES「そうだね」

――4曲目の「16FLIP VS BES 4」はベースラインが気持ちよかったです。

16FLIP「これも自分的には結構ダンスホールっぽいつもりでいます。FRESH by ABEMA TVの「7INC TREE - Tree&Chamber」で制作過程を放送していたビートがこれなんですけど、いいのができたと思ってます」

――フックの「希望は薄めずに動く」というリリックがポジティブですよね。

BES「そうなんです。ダブルミー二ングで”薄めずに”に違う意味も入ってるんです」 」

――5曲目「16FLIP VS BES 5」は?

16FLIP「これは1ヴァースだけ。インタールードですね。「I Wanna Shining」のイントロのラップを別でビートに乗せたいって思って」

――6曲目「16FLIP VS BES6」はドライブミュージックっぽいですね。

16FLIP「これも短いんですけど、クラブでBESのことをヤバいって思ってるDJにかけて欲しいインストです」

――7曲目「16FLIP VS BES 7 feat. ISSUGI」。原曲の「2 Kind (Track by 16FLIP) 」でもビートメイクしてますが、今回はISSUGIとしてラップしています。

BES「あれ、びっくりしたよ。ありがとう」

16FLIP「原曲のとき、BESから誘ってもらってたんですが、実現できなくて。今回はリミックスアルバムだし リミックスとしてラップを入れるのもありかなって」

――8曲目の「16FLIP VS BES 8 (DUB VERSION)」も原曲でビートメイクしています。

16FLIP「俺、ルーツレゲエとかも好きで。BESのアルバムならDUBヴァージョン入れても違和感ないかな?と思って。遊びですね。この曲だけアナログのディレイとかリバーブとかを好きなように友達のMASAKAZU J SHINYAにかけてもらいました」

――9曲目「16FLIP VS BES 9 (INST)」ずっと聴いていたくなる心地いいビートですね。

16FLIP「自分的に、8曲目から10曲目に行くと流れが違うなって感じだったんですよね。すごい短いんですけど、9曲目にこのビートを挟んだことによってアルバムとしての流れがいいかなと思って」

――10曲目「16FLIP VS BES 10」の原曲は「Jail (Track by LORD 8ERZ)」。アルバムのハイライトと言ってもよいのでは?

16FLIP「最初に『BES ILL LOUNGE2』で聴いたときからヤバいなって思ってました。そのときは、まさか自分がリミックスするとは思ってなかったんでうれしかったです」

――リリックも、HIP HOPじゃないとなかなか成立しにくいトピックスですよね。

BES「そうですね。どの曲も可愛いんで、どれがいちばんて訳にはいかないんですけど、これは超よかった!俺のイメージのどおりの曲になってた。本当びっくりですね。これは明るい音で暗いことを歌うというか……」

16FLIP「わかります。俺もあえてメロウなビートにしたくて。そういうイメージがありましたね」

BES「超よかった。いちばん気に入っているかもしれない(笑)。ハマり具合がもう……」

16FLIP「(笑)マジ超うれしいですね。俺は本当に、SWANKY SWIPEが日本人でフロウってこういうことなんだって教えてくれた原点なんです。SWANKY SWIPEでラップしてたもうひとりのラッパー、エイシン君にも16FLIP VS SEEDAを作ってるときにアドバイスしてもらったりミキシングしてもらったりしてて」

BES「フロウが気持ちいいか、気持ちよくないかってこと?」

16FLIP「そうですね。俺はフロウのハマり具合っていうのをSWANKY SWIPEに教えてもらったから。恩返しってわけじゃないんですけど。BESだけじゃなくて、エイシン君、ヨーデル君も俺の中では本当センスいい人たちなんですよね」

――11曲目「16FLIP VS BES 11 feat. KING104,STICKY」。原曲の「Mic Life feat. STICKY, KING104 (Track by D.FOCIS) 」はソウルフルでしたが、一転してシリアスなイメージになりましたね。

16FLIP「オリジナルはソウルフルなビートですけど、俺の方は冷たいというか尖っている感じのビートにしてみました」

BES「確かに。これもかっこよかったね」

――12曲目「16FLIP VS BES 12 feat. MICHINO Cut by DJ SHOE」は、HIP HOPマナーの仕掛けが印象的でした。

16FLIP「これはABLETONで作ったんですけど、鳴りがMPCとちょっと違うのが気に入ってます。スクラッチしてくれた福岡のDJ SHOEもいい感じにやってくれてて。あとそうだ!このサンプルネタは、下高井戸にあるTrasmundoの浜さんがくれたCDなんですよね」

――フィメールラッパーのMICHINOさんをフィーチャーしています。

16FLIP「前に俺とBESとMICHINOでスタジオ入ったときに思ったんですが、BESとMICHINOの関係性はすごくいいなって。ラップの技術面でちゃんとよくしてあげようって意思が伝わってきた」

BES「そうだね。伝えられることは全部伝えました」

――13曲目「16FLIP VS BES 13 feat. KNZZ」は、リアルなトピックスで映画のワンシーンを見ているような……

BES「これは、昔話ですね」

――14曲目「16FLIP VS BES 14」。「I'm FREE 光の中をwalking」というリリックが印象的でした。

BES「かんたんに言えば、『REBUILD』の頃は暗い道を歩いてる感じ。でもいまはリフレッシュして最高だ!みたいなことを言いたかったんですよね」

――ラストの「16FLIP VS BES 15 (BONUS)」は、1曲目の別ヴァージョンですね。

16FLIP「このビートを入れた方がアルバム全体が締まると思ったんですよね。入れるポイントを探していたんですけど、なかなか決まらなくて。だったら最後がいいかなって」

――おふたりともフリースタイルのバトルでも実績がありますが、音源との違いは?

BES「バトルのときは、もう本当にお祭り騒ぎっていうか、喧嘩の一歩手前みたいな感じで行きますね。相手をけちょんけちょんに言ってステージの端に追い詰めるみたいな」

16FLIP「それ見たことあります(笑)」

――自分にとってHIP HOPとは?

16FLIP「無いってことは考えられない感じですね。自分の一部みたいな」

BES「俺もそうですね。日常というか生活そのもの、そのときにあったことを書く」

――今後の活動予定は?

16FLIP「ライブはちょこちょこあるんですけどね。『The Definition of This Word』とは別に、BESとストリートMIXみたいな音源を制作中です。いいものができると思うんで期待してください」

BES「たぶんもうすぐ出ますんで、そっちもぜひ買ってください(笑)」

(おわり)

取材・文/encore編集部



16FLIP(ジュウロクフリップ)

画像の名前を記入

BES(ベス)



16FLIP vs BES『The Definition of This Word』
2017年9月6日(水)発売
2,200円(税別)/LEXCD-17015
Manhattan Recordings




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